2023 Fiscal Year Research-status Report
Research of transient objects and dark matter with large-sized Cherenkov telescopes
Project/Area Number |
20KK0067
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野田 浩司 千葉大学, ハドロン宇宙国際研究センター, 准教授 (00816837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 隆之 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (60713419)
高橋 光成 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任助教 (60838960)
中森 健之 山形大学, 理学部, 教授 (30531876)
稲田 知大 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (70884568) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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Keywords | ガンマ線天文学 / チェレンコフ望遠鏡 / ガンマ線バースト / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、宇宙線領域で最大の国際会議である宇宙線国際会議(ICRC)が20年ぶりに日本で開催されたため(7月、名古屋大学)、年度の初めは国内の研究者の多くが準備に追われることとなった。本研究の代表者・分担者は全員Local Organizing Committeeの一員として活躍し、7月の会議で各種発表を行った。 その間にも6月にCTA大口径望遠鏡(LST)の共同研究者会議がドイツであり、代表者野田・分担者齋藤が参加した。この会議では主にLST1号基による観測運用と物理成果、また2022年に建設許可の下りたLST2-4号基の建設スケジュールについて議論された。分担者齋藤はこの他にも現地スペインに2度渡航し(6月、2024年1月)、2号基以降のLSTカメラの準備などを行った。一方で光学系については、建設スケジュールの関係上、現地で必要な作業があまり発生しなかった。海外渡航に必要な費用は2024年度以降へ繰り越した。 2020年のガンマ線バーストについては、先に遠方のGRB 201216Cの発見検出の論文が2024年1月に出版された。一方、GRB 201015Aは最終段階で解析者が異動して多忙になってしまい、遅れている。2024年度初頭での出版を目指す(すでに2024年4月時点で再開済)。2023年度はICRCがあったこともあり、国内に滞在しながらも海外から渡航してきた研究者との交流を深めることができた。代表者や連携研究者は、これ以外にも学会や研究会に参加して交流を深めた。また、IceCube実験ニュートリノ事象対応天体のガンマ線観測の研究を大学院生と進め、各種研究会で発表した。最後に、暗黒物質については、本研究で過去に行われた対消滅への制限の成果が引き続き注目されており、本研究費の分担者だった稲田が国際会議に招待され講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内にいながらも研究をすすめることができた。宇宙線国際会議と建設スケジュールの兼ね合いで、海外渡航をする必要性がやや低かったため、渡航費用は部分的に翌年度に繰り越した。
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Strategy for Future Research Activity |
MAGIC望遠鏡によるガンマ線バーストなど突発天体の物理について、代表者野田は突発天体物理WGのコンビーナの任期を2024年3月に終えた。しかし、201216Cについてはすでに出版され、201015Aについても内容の最終化は済んでおり、2024年度初頭の出版に向けて支障はない。ニュートリノアラート対応天体の追観測については、引き続きIceCube実験とLST両共同実験内部での調整を進め、本年度中の改善を目指す。LSTの残り3基の建設については、2023年度末現在で土台や電源系コンテナの敷設が完了し、望遠鏡下部構造体の建設が進んでいる。2024年度には夏に光学系設置の準備のサポートのための渡航を予定している。また2024年末には鏡の設置を始める可能性があるため、ここでも渡航が必要となる。 LST1号基のデータ解析だが、ガンマ線バーストやニュートリノ対応天体などの突発天体については、京大・東大・千葉大・東海大・青山学院大などとの共同研究をすすめる。すでにLST共同実験内のプロポーザルを提出済みであり、今後LST内で海外の共同研究者との調整を行った後、解析者の割り振りを行う。必要ならば、これらの物理を議論するための海外渡航を考えている。 暗黒物質は東大大学院生が担当する予定である。こちらについてはすでに調整が完了しており、観測データを取得し次第、国内で粛々とすすめることができる。
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Causes of Carryover |
前述のように、望遠鏡建設スケジュールの関係上、海外渡航が必要となる頻度が想定よりも少なかった。 それ以外には、MAGICやLST実験のデータ取得シフトのための海外渡航があるが、このサイクルは各国の会計年度などではなく、毎年、月の満ち欠けの周期などに応じて時期が変化する。それに応じて、各シフターは複数の希望時期を提出し、その結果によって最終的にどの会計年度にシフトの旅費が必要になるかに、不確定性がある。 結果的に、今年度は千葉大学と山形大学で想定よりも使用した旅費が少なかった一方、これは次年度に必要となることが確定しており、最終年度となる2024年度いっぱいで使い切る計画である。
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Research Products
(12 results)