2023 Fiscal Year Annual Research Report
Risk analysis of wadi flash flood considering climate change and development of early warning system
Project/Area Number |
20KK0094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角 哲也 京都大学, 防災研究所, 教授 (40311732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カントウシュ サメ・アハメド 京都大学, 防災研究所, 教授 (70750800)
小柴 孝太 京都大学, 防災研究所, 助教 (80883157)
佐藤 嘉展 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (90414036)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 洪水 / ワジ / フラッシュフラッド / 気候変動 / 早期警戒システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,近年,乾燥地の顕著なワジ(涸れ谷)においてフラッシュフラッドが増加しているオマーンを対象に,ダムに流入する土砂量の増加が貯水容量の減少や地下浸透の減少,ダムの越水リスクなどを増大させている課題を取り上げ,その対策について検討を行ったものである.得られた成果は以下のとおりである. 1)ワジ・サマイルを対象に,洪水時の流れ,土砂移動および河床変動をモニタリングするために,ドローンによる洪水前後の写真撮影による河床地形変化,橋梁部に設置したWEBカメラ画像を用いた大規模画像粒子流速測定法(LSPIV)による洪水時の表面流速測定,河床に埋設した,砂礫の移動を音響信号に変換して流砂量を観測するプレート型ハイドロフォンによる土砂移動の測定を組み合わせた手法を実装した.その結果,フラッシュフラッドの流速特性や洪水前後の河床変動特性を明らかにするとともに,洪水ピークの立ち上がり時に有意に河床砂礫が掃流砂として移動することを明らかにした. 2)ワジ・ミグラスのアサリンダム貯水池を対象に,貯水池内に設置した土砂の堆積厚を計測するスケールバーやドローンによる写真測量を用いて洪水前後の堆砂量変化の定量化を行うことに成功した.また,土壌損失予測式(RUSLE)から推定される流域規模の年間土砂生産量に対する洪水発生年の貯水池内の堆積土砂量の割合を求め,これがフラッシュフラッドをもたらす雨量強度や洪水ピーク流量と良好な相関関係を有することを明らかにした. 3)ワジ流域からの土砂生産量の推定手法の開発と管理への適用について,SWAT (Soil and Water Assessment Tool) モデルと機械学習を統合し,ツリー構造を使用してデータ制限と複雑な最適化問題に対処するために調整された遺伝的アプローチを提示し,これら成果を用いて生産土砂量を推定する簡易式を提案することに成功した.
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