2021 Fiscal Year Research-status Report
フラグメント分子軌道法による線虫誘引物質と受容体の解析と農薬開発への応用
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20KK0135
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤 進一郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (00315748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Tsai YiーLun (ツァイアレン) 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 助教 (10761687)
新屋 良治 明治大学, 農学部, 専任准教授 (30802798)
門田 康弘 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (80548975)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 植物感染性線虫 / リガンド / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物感染性線虫の農業被害は、年間数十兆円と試算されている。本研究では、植物感染性線虫の感染機構において、植物の線虫誘引活性に注目し、植物と線虫の相互作用に関する研究を展開する。我々は、これまでに、サツマイモネコブセンチュウの植物誘引物質を複数単離してきており、受容体候補も得ている。本申請研究では、多くの線虫類のゲノム情報を用いて、誘引物質ー受容体の組合せに関する情報量を増やし、そのバリエーションについて網羅的に理解することを目的としている。2021年度は、植物感染性線虫の形質転換系の確立を目指した。VISUAL法を用いて、葉の細胞を維管束系の細胞に再分化させる実験系を確立させた。このVISUAL法を用いて、葉の細胞を分化転換させ、線虫を感染させたところ、葉の細胞にも線虫が感染出来ることを明らかにした。また、植物感染性線虫の水耕栽培培養系を用いて、成熟メスの詳細な観察を行い、卵発生中のメスへの形質転換を検討した。しかし、根の中のメスへの形質転換は難しいことが分かった。 一方、線虫のエフェクター蛋白質であるMiEFF18について、その機能解析を行った。これにより、どのようなタンパク質が、植物ー植物感染性線虫との相互作用に必要か、その分子機構の一端を明らかにした。線虫のMiEFF18が、植物側のスプライソソーム, SmD1と結合することを明らかにした。また、これらの結合が、線虫感染後の巨大細胞の分化に必要であることを明らかにした。この成果を、論文として発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度には、受入教員のBruno Favery博士、Michael Wuentin博士らとの共同研究が進展した。線虫のエフェクター蛋白質であるMiEFF18について、その機能解析を行った。これにより、どのようなタンパク質が、植物ー植物感染性線虫との相互作用に必要か、その分子機構の一端を明らかにした。線虫のMiEFF18が、植物側のスプライソソーム, SmD1と結合することを明らかにした。また、これらの結合が、線虫感染後の巨大細胞の分化に必要であることを明らかにした。この成果を、論文として発表することができた。このように、本研究は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
線虫の受容体候補について、植物感染性線虫の形質転換系の確立を目指す。現在、VISUAL法を用いた形質転換法を検討中であるが、本年度はさらに、VND遺伝子の過剰発現株を用いた形質転換法を試験する。VND遺伝子は、維管束細胞への分化のマスタースイッチ転写因子であることがわかっている。これにより、根の表皮細胞も維管束系の細胞に分化転換させることが出来る。本年度は、この実験系を活用することにより、植物感染性線虫への形質転換を目指す。
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Causes of Carryover |
2021年度には、フランスISA, コードダジュール大学に赴き、共同研究を実施する予定であったが、海外出張ができなかったため、その旅費とそれに伴う消耗品の支出 ができず、繰り越しを行った。2022年度は、是非、フランス出張を行い、共同研究を進めたいと考えている。2022年度には、フランスで十分な時間をとり、共同研究 を進めたいと考えている。また、オンラインで議論しつつ、共同研究は進めており、線虫の受容体の候補の絞り込みや、線虫の形質転換系の確立もすすめる。
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[Presentation] 変異体の花茎の矮化を抑圧するSET 遺伝子のクローニング及び機能解析2022
Author(s)
郡司玄,木津亮介,木村大夢,橋本玲奈,石附夏子,市川麻央,本池珠恵,古賀晧之,花井研哉,平野智成,風間裕介,阿部智子,光田展隆,堀口吾 朗,澤進一郎,塚谷裕一,フェルジャニ アリ
Organizer
第63回日本植物生理学会年会
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