2020 Fiscal Year Research-status Report
Developing a new control measure of malaria by adjusting host nutrition
Project/Area Number |
20KK0180
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
嘉糠 洋陸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50342770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青沼 宏佳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60451457)
齊木 選射 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70738971)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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Keywords | マラリア原虫 / 熱帯熱マラリア / 栄養 / アミノ酸 / 赤血球 / 脳マラリア / イソロイシン / 重症化 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯熱マラリアは、適切な処置が施されない場合、重症貧血や脳性マラリアなどの重篤な症状を呈する疾病である。我々は、これまでの研究から、マラリア原虫感染時に、血漿中に含まれるアミノ酸濃度の組成(血漿アミノグラム)が顕著に変動することを明らかにしている。血漿アミノグラムは食事に含まれるアミノ酸含量に強く影響を受けることから、食餌に含まれるアミノ酸がマラリアの重症度へ与える影響を検証した。 脳性マラリアの実験モデルとして使用されるC57BL/6Jマウスに、イソロイシンを欠いた飼料を給餌したところ、げっ歯類マラリア原虫(P. berghei ANKA)感染時の生存率が顕著に上昇し、このモデルの特徴である中枢神経症状が改善した。この時、脳血管における赤血球のロゼッティングは観察されない一方で、脳組織に含まれる原虫量に差は見られなかった。このイソロイシン欠損飼料を与えたマウスでは、マラリア原虫感染赤血球が矮小化しており、これが脳性マラリアの原因である血管塞栓が観察されない要因と推測された。熱帯熱マラリア原虫の宿主であるヒトは、生物史上のほとんどの期間を低栄養状態で過ごしてきた事実を併せると、これら結果から、宿主のアミノ酸栄養飽和による感染赤血球の恒常的大型化が、脳性マラリアを重症化させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ルワンダ等のマラリアが蔓延するアフリカ諸国において問題となっている、重症マラリアである脳性マラリアについて、その発症と病態の解明は未だ途上である。当該年度の研究により、イソロイシン欠損により脳マラリアがモデル動物において改善される理由のひとつが、赤血球の矮小化である可能性が示された。付随して、感染赤血球のサイズ変化の特殊性や、白血球の貢献度の解析もなされており、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
マラリア流行地域におけるアミノ酸関連の患者栄養状態とマラリア重症度との関係について検証を実施することにより、新規のマラリア原虫-宿主相互作用の解明を試みる。赤血球の形態と重症マラリアについての解析、食習慣とマラリア重症度との関係についての解析、マラリアの流行と栄養状態との関係についての解析の各々について、研究計画通りに推進する。
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Causes of Carryover |
(理由)アミノ酸による脳マラリア発症制御とそのメカニズムに関する研究が予想以上に進展し、それを主に据える研究計画細目を重点的に実施した。その結果、研究計画の実施順序を一部変更し、物品費(消耗品)および人件費の大部分を使用する他の研究計画細目を次年度以降に実施することにしたため。 (使用計画)物品費(消耗品)および人件費を活用し、赤血球の形態と重症マラリア、食習慣とマラリア重症度との関係、マラリアの流行と栄養状態との関係等の解析を実施する。
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Research Products
(1 results)