2020 Fiscal Year Research-status Report
運動と不動化による筋量とエネルギー代謝の制御機構の解析
Project/Area Number |
20KK0198
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40294219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 和弘 神戸大学, 医学研究科, 特定助教 (70450236)
平田 悠 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (70846352)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 運動 / 不動化 / 筋量制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋量減少は様々な疾患の基盤病態となり、筋量増加は運動機能増強のみならず、代謝の改善を含め、様々な健康障害に対し予防的な効果をもたらず。筋量の制御機構に対する理解は様々な健康障害の治療・予防薬の開発に繋がる。本研究計画では骨格筋特異的PDK1欠損マウス、骨格筋特異的KLF15欠損マウス、骨格筋特異的β2アドらナリン受容体欠マウスなど申請者らが運動や不動化による筋量の変化を抑制することを明らかとしている遺伝子改変マウスのデータを活用して、ヒト骨格筋マルチオミクスデータベースを構築しているカロリンスカ研究所のJuleen Zierath博士との国際共同研究を進め、骨格筋量の制御機構に関わる新たな知見を見出すことを目的とする。 今年度は、まずギプス固定による不動化性筋萎縮に抵抗性を示すことを明らかとなっている骨格筋特異的KLF15欠損マウスに対して、神経切除の効果を検討した。マウスの下肢神経切除により野生型マウスでは2日間で5-10%の筋量減少が見られたが、骨格筋特異的KLF15欠損マウスではそれが抑制されていた。一方、協働筋切除法による下腿筋切除による代償性運動負荷による筋量増加は、骨格筋特異的KLF15欠損マウスと野生型マウス間で差はなく、kLF15は運動による筋量増加には関与しない可能性が示唆された。また、不動化マウス骨格筋のマイクロアレイデータとヒト骨格筋の生検試料における遺伝子発現変化と比較解析し、不動化によってヒト及びマウスで共通して、発現が変動する遺伝子を同定した。その中から、特にる液性因子及び細胞膜Ca2+チャネルの遺伝子を抽出し、各種条件の運動や不動化における変化について解析した。また、骨格筋特異的β2アドレナリン受容体欠損マウスに対して各種の条件で骨格筋に浸潤する免疫学的細胞についての解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に従って、各種のモデルマウスの病態の解析や筋量制御に関わる可能性のある候補分子を同定することができた。不動化性筋萎縮患者の生検試料における遺伝子発現変化の解析を通じて、マウスで得られた候補分子のヒトの病態における妥当性の検証についても計画通りに実施することができた・
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの遺伝子改変マウスを用いた解析によって得られた機能性分子の候補についてJuleen Zierath博士との国際共同研究を活用し、ヒトでの生理的・病理的意義の検証を行う。また培養細胞を用いた実験は、筋量増加、あるいは、筋萎縮モデルマウスを用いてそれらの機能について解析を行う。 なお、当該年度は新型コロナウイルス感染症のため、スウェーデンのZierath博士の研究室に直接出向いて共同研究を行うことができなかったが、渡航制限が解除されれば現地に赴いて共同研究を実施する。
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Causes of Carryover |
本年度中に予定していた渡航による共同研究に関わる費用は今年度には使用しなかったため。一方で、国内で収集したヒト試料についての解析を実施し、当初の計画に従った、十分な成果が得られた。
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