2020 Fiscal Year Research-status Report
微細藻類-硝化菌固定化遮光ゲルによる窒素含有排水の低コスト処理:メキシコを例に
Project/Area Number |
20KK0249
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
井田 旬一 創価大学, 理工学部, 教授 (20409783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 光彦 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (50794038)
中國 正寿 香川大学, 農学部, 博士研究員 (90822643)
秋月 真一 創価大学, プランクトン工学研究所, 講師 (60772340)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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Keywords | 微細藻類-硝化菌共存系 / 窒素含有排水処理 / 遮光ゲル / 途上国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、メキシコをフィールドに、「微細藻類-硝化菌固定化遮光ゲル」共存系による高アンモニア含有排水の低コスト処理の実現を目的としている。申請時の計画では、初年度に日本人研究者がメキシコに赴き、現地環境から高アンモニア耐性の微細藻類種(または群)、及び、硝化活性の高いバクテリア群を探索・選定する予定であった。そこで選定した微細藻類、硝化菌を用いて、今年度、共存系による現地環境下での高アンモニア含有排水処理を行いながら、遮光ゲルの問題点抽出と改善を行う計画であった。しかし、新型コロナウイルスの影響によりメキシコ渡航の目処が立たず、現地大学でも研究が停止されていることから、遮光ゲル担体の性能改善を日本において進めることとした。検討のポイントは以下の2つである。1つ目は、ゲルの長期使用のための耐久性向上、2つ目は、高強度光照射下での温度上昇抑制のための遮光材の検討である。まず、耐久性向上のため、ゲル材料をこれまでの易分解性のアルギン酸から、難分解性のポリビニルアルコール(PVA)主体の材料へ変更を行った。また、架橋法についても、従来の飽和ホウ酸ではpHが3.8となり固定化時に硝化菌活性への影響が大きいことから、pH7.0付近となるよう飽和ホウ酸-ホウ砂(混合比2:1)に変更した。その結果、飽和ホウ酸-ホウ砂で調製したゲルは、従来法に比べ、硝化菌活性への影響が低いだけでなく、機械的強度(圧縮弾性率)についても約20倍の値を示した。これにより耐久性も大きく向上した。2つ目の遮光材の検討では、まず硝化菌が光阻害を受けやすい光波長を確認する実験を行った。結果として、波長380-550 nmで光阻害が発生することが分かった。このことから温度上昇を抑制するために、これまでの黒色ではなく、赤色の遮光材(吸収波長380-550 nm)による限定遮光で温度上昇を抑制できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画では、初年度に日本人研究者がメキシコに赴き、現地環境から高アンモニア耐性の微細藻類種(または群)、及び、硝化活性の高いバクテリア群を探索・選定する予定であった。また、そこで選定した微細藻類、硝化菌を用いて、今年度、共存系による現地環境下での高アンモニア含有排水処理を行いながら、遮光ゲルの問題点抽出と改善を行う計画であった。しかし、新型コロナウイルスの影響によりメキシコ渡航の目処が立たず、現地大学でも研究が停止されていることから、この部分が未実施となっている。 一方、今年度実施予定であった、遮光ゲル担体の性能改善は先に実施することができ、この点は計画よりも進んでいる状況である。そのため、全体としては「やや遅れている」、を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
いまだにメキシコ渡航の目処は立っていおらず、今年度、いつになったら渡航できるかは未知数である。そのため現地環境での、高アンモニア耐性の微細藻類種(または群)、及び、硝化活性の高いバクテリア群の探索・選定について、メキシコ・グアナファトの大学側で行う向で進めている。 8-9月には現地で研究再開の可能性があるため、それに合わせて研究に従事する大学院生の検討を進めて頂いている。 また今年度、当初計画ではメキシコで実施する予定となっている、「屋外」でのバッチプロセスによる、「微細藻類-硝化菌固定化遮光ゲル」共存系を用いた高アンモニア含有排水処理実験は、日本においても実施し、実環境下でのプロセスの問題点の洗い出しを行う予定である。このように、メキシコ、日本でなんとか分業しながら、できる範囲で進められるだけ研究を進めておき、渡航可能となった時点でそれぞれの知見を統合して、プロジェクトを進める方針である。
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Causes of Carryover |
申請時の計画では、初年度に日本人研究者がメキシコに赴き、現地環境から高アンモニア耐性の微細藻類種(または群)、及び、硝化活性の高いバクテリア群を探索・選定する予定であった。また、そこで選定した微細藻類、硝化菌を用いて、今年度、共存系による現地環境下での高アンモニア含有排水処理を行いながら、遮光ゲルの問題点抽出と改善を行う計画であった。しかし、新型コロナウイルスの影響によりメキシコ渡航の目処が立たず、現地大学でも研究が停止されていることから、この部分が未実施となっている。
新年度において、もし新型コロナの状況が落ち着き、メキシコ渡航ができるようであれば、この未実施の部分を実施するつもりのため、そのための予算を次年度へ繰り越している。しかし、日本からメキシコ渡航が困難な場合、現地大学においてこの部分を分担し実施してもらう計画も立てており、繰越資金はこのことの用いる予定である。
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Research Products
(2 results)