2022 Fiscal Year Research-status Report
MEMS力計測プラットフォームによる単一細胞機械的特性とがん疾病の関係性評価
Project/Area Number |
20KK0326
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
久米村 百子 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (50533642)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | MEMS / 単一細胞 / 機械特性計測 / 細胞マニピュレーション / 遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、単一細胞の機械的な特徴とがんとの関係性を見出すことを目的とし、フランス、リールのがん研究所において、MEMSによるがん細胞の評価研究を行う。研究テーマ(1) クリニカルサンプルを含めたがん細胞と健常細胞の機械特性評価、(2) 従来のがんマーカー検出と機械特性計測によって得られる結果の比較、(3) 抗がん剤の効果計測を実施する。 R4年度は、国内にてMEMSデバイスの作製と、6月13日~7月7日、2月17日~3月8日において現地での研究を行なった。 期間中は、バイオMEMSがん研究チームのD. Collard教授、M. C. Tarhan准教授、同教授の研究室に所属する博士課程学生、国立保険医学研究機構(INSERM)研究員のC. Lagadec博士と実施内容の確認、実験結果、関連研究の調査などについて議論を行った。(1)の研究テーマに関して、多数の細胞を効率よく計測する必要があるため、実験ではMEMSピンセットとマイクロ流体デバイスを組み合わせた実験プラットフォームを用いて、乳がん細胞と健常な胸部の細胞の力学計測を行なった。ポリマーとガラス基板から構成されるマイクロ流体デバイスへ連続的に細胞を送液し、マイクロ流体デバイスの中央に設けた開口部よりMEMSピンセットのプローブを挿入し、細胞捕獲、計測するシステムである。一定の実験結果が得られたものの、健常細胞の培養はがん化した細胞より困難であり、滞在中に実験が実施できる回数は限られた。明確な結論を導くために、さらに複数回の実験が必要である。 なお、IRCLがん研究所に拠点を置いていたバイオMEMS実験室とクリーンルームは、R4年度夏に完成したONCOLilleがん研究所に移設されたため、R4年度後半の研究はONCOLille研究所で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究テーマ(1)がん細胞と健常細胞の機械特性評価について、実験の回数を重ねた上で明確な結果を得られると考えていたが、健常細胞の培養がうまくいかず、想定していた数の細胞の計測に至らなかった。細胞の準備等はLagadec博士に依頼しており、Lagadec博士の本務との時間調整もあるため、培養方法を最適化する等の作業は難しいと考えている。なお、実験セットアップ等については問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度は4年度に引き続き、MEMSデバイス作製と健常細胞とがん細胞との比較を行う予定である。 また、(2)のテーマとして、すでに医療診断においてがんマーカーとして利用されているがん遺伝子を解析する。MEMSピンセットにより機械特性を計測した細胞に対して、細胞溶解、逆転写反応等を行い、リアルタイム解析により遺伝子発現レベルを解析する。両者のデータを比較し、がんマーカーと機械特性の関連性を探る。国内において細胞株による検証を行なったのちに、がん研究所にてがん細胞、健常細胞を対象とした実験・評価を行う予定である。
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Research Products
(2 results)