2021 Fiscal Year Research-status Report
Understanding how bear serum slows down biological clock and metabolism for energy saving in skeletal muscle
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20KK0355
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中尾 玲子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (20582696)
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Project Period (FY) |
2021 – 2022
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Keywords | 冬眠 / 体内時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類は、冬眠、休眠といった能動的かつ全身性の低代謝・低体温を誘導する機構により、低温環境や飢餓といった極限状態を乗り切ることができる。基礎代謝量の多い骨格筋の代謝抑制は効率的な冬眠の導入と冬眠中の消費エネルギー節約に必須であると考えられる。一方、体内時計の機構が冬眠の開始時期の決定や冬眠中の体重調節に寄与するとの報告がある。本研究では、冬眠動物の中でも体温を高く保ったまま冬眠する、つまり代謝酵素の活性抑制のために低体温を利用できないクマに着目し、クマの血清が体内時計の制御を介して細胞内エネルギー代謝を抑制する可能性とその機構を明らかにする。 本年度は、骨格筋細胞が示す概日リズムと、筋細胞におけるミトコンドリア呼吸量を測定する実験系の構築を行った。研究計画立案時は、フランス国立農学研究所からヒト骨格筋初代培養細胞を供与していただく予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大による検体不足により、マウス筋細胞株であるC2C12細胞、及び時計遺伝子のレポーターマウスの骨格筋を用いて、概日リズムの指標である時計遺伝子の発現量を4日間モニターすることとした。C2C12細胞のミトコンドリア呼吸量の測定は、ストラスブール大学に備えられている酸素電極を用いて行うこととした。これらの実験系の条件検討を行い、各指標が問題なく測定できることを確認した。受け入れ研究者であるFabrice Bertile博士(ストラスブール大学)が採取したクマの血液が本年度末に届いたため、現在これらの血清を用いて、上記の系による時計遺伝子の発現リズム、ミトコンドリア呼吸量の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨格筋における時計遺伝子の発現量を経時的にモニターするために、時計遺伝子Per2のレポーターマウスから採取した骨格筋を生体外培養し、4日間、ルシフェラーゼ(レポーター)の発光を検出できることを確認した。また、C2C12筋管細胞を用いて、酸素消費量を測定できることを確認した。クマ血清をこれらの培地に添加し、データの取得を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、時計遺伝子レポーターマウス(時計遺伝子Per2のプロモーター制御により全身でルシフェラーゼを発現するマウス)から採取した骨格筋の培養液中にクマ血清を添加し、ルシフェラーゼによる発光量の位相、周期、振幅を測定する。また、C2C12細胞の培地中にクマ血清を添加したときのミトコンドリア呼吸量を測定する。クマの血清が代謝に及ぼす影響を、時間軸を含めて評価する。
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