2022 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding how bear serum slows down biological clock and metabolism for energy saving in skeletal muscle
Project/Area Number |
20KK0355
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中尾 玲子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (20582696)
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Project Period (FY) |
2021 – 2022
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Keywords | 冬眠 / 体内時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
冬眠動物は、能動的に全身性の低代謝を誘導し、冬の低温環境を絶食状態で乗り切ることができる。基礎代謝量の多い骨格筋における代謝抑制は、効率的な冬眠の導入と維持に必須であると考えられる。一方、体内時計機能は冬眠中の体重維持に寄与するとの報告があるが、冬眠中の体内時計の役割は不明である。本研究では、クマが冬眠動物の中でも体温を比較的高く保ったまま冬眠する、つまり代謝酵素の活性抑制のために低体温を利用できないことに着目し、クマの血清が体内時計の制御を介して筋細胞のエネルギー代謝を抑制する可能性について検討を行った。 クマ血清が末梢組織の概日リズムにもたらす効果を評価するために、体内時計の振動をモニターするために用いられるPer2-ルシフェラーゼノックイン(Per2-luc)マウスから採取した骨格筋(ヒラメ筋)、及び中枢時計としての働きを持つ視床下部の視交叉上核を生体外培養し、その培地中に5%クマ血清、または対照として5%ウシ胎児血清(FBS)を添加した。クマ血清は夏、または冬眠中に、同一個体から採取した。Per2Lucマウスヒラメ筋では、夏・冬いずれのクマ血清を加えた場合にもPer2発光リズムの振幅が増大し、位相が前進したが、冬眠クマ血清のほうがその効果が強く表れた。視交叉上核におけるPer2発光リズムに対するクマ血清の影響は無く、FBS存在下と同様に安定した発光リズムが検出された。先行研究では、加齢や糖尿病患者において骨格筋の時計遺伝子発現の振幅の減衰や、運動によるその改善が報告されている。クマ血清は骨格筋を含む末梢組織を標的にした体内時計改善効果を持ち、無駄な貯蔵栄養素の消費を抑制する可能性があると考えられた。
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Research Products
(1 results)