2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ観測装置カムランドを用いたニュートリノレス二重β崩壊の研究
Project/Area Number |
21000001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 邦雄 Tohoku University, ニュートリノ科学研究センター, 教授 (10242166)
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Keywords | 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ / 素粒子実験 / 極低放射能環境 / レプトン数の破れ |
Research Abstract |
(a)ニュートリノレス二重ベータ崩壊研究で必須であり、その量が感度を決定する同位体濃縮キセノン136を、初年度の計画通り50kg調達した。 (b)また、質量分析のできる残留ガス分析装置を導入し、キセノン136が仕様通り含まれること、不純物ガスが十分に少ないことを確認した。 (c)キセノン含有液体シンチレータを導入する際に必要となる小型薄膜バルーンの製作に必要となるフィルム選定のため、透明度・ガスバリア性・化学耐性・フィルム強度・溶着強度を主たる要件として分析調査を行ったところ、ナイロン、EVOHおよびそれらのラミネートフィルムが要件を満たすことを見いだした。放射性不純物量においてはペレットレベルで要求要件を満たしていることを確認している。さらに、バルーンの構造決定および導入テストのために、4分の1スケールおよび実物大の直径3.4mのバルーンを製作し、導入口を通るように十分小さくたためることを確認するとともに、バルーン構造・バルーン保持ネット構造を確立することに成功した。 (d)デッドタイムフリー電子回路およびベースライン安定化回路、新型トリガーの導入を完了し、宇宙線起源バックグランドの除去手法を確立した。 (e)1000kgまでの拡張に対応できるキセノンガス貯蔵装置を開発製造し、専用に整備した地下空洞に設置完了した。 (f)キセノン溶解後にカムランド液体シンチレータと密度・発光量が揃うキセノン含有液体シンチレータの開発に成功した。 以上、観測に必要な要素技術開発は予定前倒しで順調に進んでおり、観測開始を一年早めて国際的な競争力を一層高めることも可能となった。
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Research Products
(31 results)