2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ観測装置カムランドを用いたニュートリノレス二重β崩壊の研究
Project/Area Number |
21000001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 邦雄 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 教授 (10242166)
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Keywords | 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ / 素粒子実験 / 極低放射能環境 / レプトン数の破れ |
Research Abstract |
(a)本研究で必須かつその量が感度を決定する同位体濃縮キセノン136を、79kg調達した。 (b)液体シンチレータを精密な密度制御で調合し、キセノンを溶かし込む、また、液体シンチレータから高価なキセノンを回収するキセノンガス取扱装置およびキセノン含有液体シンチレータ貯蔵タンクを開発・導入した。 (c)頑丈な80ミクロン厚ポリエチレンフィルムを使った実寸大ミニバルーンを用いて、深さ8mの水槽での水を使った導入・展開のリハーサルを行い、フィルムへのストレスを最小にする導入・展開手法を確立した。これを元に25ミクロン厚のクリーンナイロンフィルムを製造し、それを使った実機と同等のミニバルーンを用いて、同様の導入・展開リハーサルに加え、精密な密度制御によるバルーン内液体の入替・液体取りだし・非破壊バルーン取り出しのテストも行い、全て成功裏に完了した。同時に液体中でのミニバルーンの制御に必要となる水中監視カメラおよび照明の最適化を行い、液体シンチレータ中での使用にも耐えるよう改造設計を行った。 (d)デッドタイムフリー電子回路およびベースライン安定化回路、新型トリガーを運用し、宇宙線起源バックグラウンドであるC10を識別するために不可欠な、大信号ミューオン直後の中性子信号の取得に成功した。 (e)キセノン含有液体シンチレータ用の各成分を調達し、常温で固体のために不純物除去が難しい発光溶質PPOの蒸留による高度純化を行った.残りの液体成分は導入直前に蒸留することで放射性物質の混入を最小にする。 (f)本番用ミニバルーン製作で使用するスーパークリーンルームの準備を行った。 以上、観測に必要な要素技術開発は一通り完了しており、カムランド上部のクリーニング、キセノン全量の調達、本番用ミニバルーンのスーパークリーンルームでの製作、実機導入の後に、国際的競争力の高い観測を始める。
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Research Products
(44 results)