2013 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ観測装置カムランドを用いたニュートリノレス二重β崩壊の研究
Project/Area Number |
21000001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 邦雄 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 教授 (10242166)
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Project Period (FY) |
2009-05-08 – 2014-03-31
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Keywords | 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ / 素粒子実験 / 極低放射能環境 / レプトン数の破れ |
Research Abstract |
カムランドの極低放射能環境を活かして、Xe-136含有液体シンチレータを中心に導入し、ニュートリノ観測と並行した高感度のニュートリノレス二重β崩壊探索を、迅速かつ高いコストパフォーマンスで実現した。これまでの89.5kg-yrの観測では、世界最高感度となる半減期の下限値1.9×10^25年を与えた。さらに、他実験との統合解析では、Ge-76を使い発見を主張していたKKクレイムを97.5%の信頼度で排除した。また、残存する主要バックグラウンドをAg-110mと特定し、キセノンを脱気した測定でAg-110mが残留すること、信号発見時にキセノンの有無によるOn-Off測定が可能であることも示した。 平成25年度は特に以下のことを行った。 1. 放射性不純物除去のために、キセノンの精留・3nmフィルター・活性炭・ゲッターによる純化、液体シンチレータの入れ替え・蒸留循環による洗浄を行い、Ag-110mを10分の1以下に低減、ミニバルーン上半球の放射性不純物低減を行った。 2. 新たな手法によるキセノン再導入で、315kgから383kgに増量した。 3. 放射性不純物低減後の探索では、これまでの3分の1の観測期間で同等の感度を達成しており、安定的な探索継続で、2年程度の観測でマヨラナ有効質量100meVを切る感度を達成する見込みである。 4. 大幅な感動向上に向けた開発を行った。 (1)実物大集光ミラーを試作し、2~2.5倍の光量増を得ることに成功した。 (2)広視野・高被写界深度光学系を設計し、γ線を伴うバックグラウンドの低減手法を提案した。 (3)高発光・高引火点液体シンチレータおよび同密度のバッファーオイルの開発を行い、日本製品に特有の光吸収に対し、蒸留純化で改善できることを見いだした。 (4)α線を伴うバックグラウンド低減のためのシンチレーションフィルム開発を行い、超音波溶着による接合を実現した。 5. ニュートリノ観測の同時進行を実践し、原子炉停止時の地球反ニュートリノ観測による精度向上で、地球モデルの選別が始まっている。
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Research Products
(76 results)
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[Journal Article] Reactor on-off antineutrino measurement with KamLAND2013
Author(s)
A. Gando, Y. Gando, H. Hanakago, H. Ikeda, K. Inoue, K. Ishidoshiro, H. Ishikawa, M. Koga, R. Matsuda, S. Matsuda, T. Mitsui, D. Motoki, K. Nakamura, A. Obata, A. Oki, Y. Oki, M. Otani, I. Shimizu, J. Shirai, A. Suzuki, et al. (KamLAND collaboration, 46名)
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Journal Title
Physical Review
Volume: D88
Pages: 33001
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] PICO-LON Dark matter Search2013
Author(s)
K. Fushimi, S. Nakayama, R. Orito, R. Sugawara, Y. Awatani, H. Ejiri, T. Shima, R. Hazama, K. Inoue, H. Ikeda and A. Kozlov
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Journal Title
Journal of Physics : Conference Series
Volume: 469
Pages: 12011
DOI
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[Presentation] PICO-LONによる宇宙暗黒物質探索~NaI (T1)結晶の高純度化~2014
Author(s)
伏見賢一, 菅原隆希, 粟谷悠人, 折戸玲子, 江尻宏泰, 嶋達志, 高久圭二, 梅原さおり, 硲隆太, 井上邦雄, 池田晴雄, Alexandre Kozlov, 今川恭四郎, 保田賢輔
Organizer
日本物理学会第69回年次大会
Place of Presentation
平塚市東海大学
Year and Date
20140329,27-30
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[Presentation] KamLAND-Zen実験の現状と将来2014
Author(s)
丸藤祐仁
Organizer
日本物理学会第69回年次大会実験核物理領域, 理論核物理領域, 素粒子実験領域, 素粒子論領域, 宇宙線・宇宙物理領域合同シンポジウム二重ベータ崩壊研究の最前線
Place of Presentation
平塚市東海大学
Year and Date
2014-03-28
Invited
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[Presentation] PICO-LONによる宇宙暗黒物質探索~NaI (T1)の純度測定経過と将来計画~2013
Author(s)
伏見賢一, 菅原隆希, 粟谷悠人, 折戸玲子, 中山信太郎, 江尻宏泰, 嶋達志, 梅原さおり, 硲隆太, 今川恭四郎, 保田賢輔, 伊藤浩史, 松本絵里佳, 井上邦雄, 池田晴雄
Organizer
日本物理学会2013年秋季大会
Place of Presentation
高知市高知大学
Year and Date
20130920,20-23
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