2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21000005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅 裕明 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 教授 (00361668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内匠 透 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00222092)
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Keywords | 天然物有機化学 / 生理活性物質 / 生体高分子 / 生合成 / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
(1)両親媒性環状特殊ペプチドの合成技術開発については、ほぼ初年度の計画通り、翻訳開始のためのファルネシル酸含有アミノ酸の合成、およびその合成アミノ酸による翻訳の開始を検討した。合成したアミノ酸は、(1)αアミノ基にファルネシル酸誘導体を連結させたL-メチオニン、(2)αアミノ基にファルネシル酸誘導体を連結させたL-フェニルアラニン誘導体、(3)側鎖にファルネシル酸誘導体を連結させたL-システィン誘導体、(4)側鎖にファルネシル酸誘導体を連結させたD-システィン誘導体、の4種のアミノ酸を合成した。いずれも合成には成功したが、(1)と(2)のアミノ酸については水溶性が極めて悪く、フレキシザイムによるtRNAへのアシル化効率が10%程度と低いため、翻訳系に用いることを断念した。一方、αアミノ基を持つ(3)と(4)については溶解性の問題がなかったため、これらについてはフレキシザイムで開始tRNAへのチャージを行い、その結果50%の超える良好な収率でアシル化tRNAを得た。(3)と(4)のアミノ酸については、それぞれ翻訳の開始の効率を検討した結果、驚いたことに(4)の効率が(3)よりもはるかに高いというデータが出た。これは、おそらく側鎖がリボソームのペプチドexitトンネル側に位置することで側鎖とαアミノ基の立体的位置関係が逆転し、結果として(4)のD-アミノ酸の方がL-メチオニンに近似した3次元スペースを占めることによりリボソーム内で機能したと考えている。これはさらなる検証を必要とする仮説ではあるが、リボソームの立体構造認識の側面からは非常に興味深い結果であろう。いずれにせよ、この結果を受け(4)のアミノ酸の合成のスケールアップを行い、「(3)特殊ペプチドライブラリーの合成と網羅探索系の融合」に向けた準備を整えた。(4)生理活性特殊ペプチドの探索については、下記の標的に対し上記の特殊ペプチドライブラリーのセレクションを行い、良好な結果が得られた。下記のKdは、本研究補助金で購入したBiacoreT100で測定した。(1)EpCAMアンタゴニスト:Kd=1~10nMの結合力をもった3種の環状特殊ペプチドを獲得した。(2)E6アンタゴニスト:Kd=0.5~2nMの結合力をもった3種のNメチル化環状特殊ペプチドを獲得した。
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Research Products
(20 results)