2010 Fiscal Year Annual Research Report
一分子生理学を超えて:生体分子機械を力で優しく働かせる
Project/Area Number |
21000011
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木下 一彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30124366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石渡 信一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10130866)
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Keywords | 1分子計測・操作 / 1分子生理・生化学 / 生体エネルギー変換 / 回転分子モーター / ATP合成酵素 / F1-ATPase / トポイソメラーゼ / 紡錘体 |
Research Abstract |
(1)R-ATPaseの回転機構 前年度に引き続き、回転分子モーターF_1-ATPaseの3つの活性部位それぞれのATPおよびADPに対する結合・解離速度常数を回転角の関数として決定した。いずれも回転角に対して100倍以上変化し、角度依存性はなめらかであった。結合常数は4桁以上の変化を見せ、ATPとADPでは角度依存性がずれていた。また、回転子頭部を完全に削除した変異体でも回転することが分かり、回転特性を調尺べている。この酵素は、少量のSDS(界面活性剤)存在下でかえって活性化され、回転分子数も増えることが示された。 (2)ATP合成酵素 F_0F_1の親戚であるV_0V_1-ATP合成酵素のATP駆動の回転において、30度おきのサブステップが見えた。V_0部分の対称性(V_0-cサブユニット12個)を反映するもので、ATP駆動のモーター(V_1)の回転がプロトンモーター部分(V_0)での相互作用の影響を受けることが初めて示された。F_0F_1-ATP合成酵素に関しては、新しい再構成法の開発により、好熱性酵素としては初めてATP合成反応の基質依存性や温度依存性を決定できた。脂質膜に再構成したF_0F_1のATP駆動回転によるプロトンポンプも顕微鏡下で可視化されつつある。 (3)その他 II型DNAトポイソメラーゼのprocessivityは、従来の報告と異なり有限で、約10秒たつと酵素はDNAから離れてしまうことを示した。Reverse gyraseによるDNA回転は、DNA中に相補性を欠くバブル領域を導入すると速くなる。しかしバブルをたくさん入れるほど速くなるわけではなく、何が速度を決めるのか検討中である。紡錘体(染色体分裂装置)が力学的操作に対して形状を保とうとするような応答を示すのは、微少管の脱重合やモーター活性が関わっていることが分かりつつある。
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Research Products
(53 results)