2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸代謝疾患として捉える自閉症の生物学的基盤の解明
Project/Area Number |
21200014
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
松崎 秀夫 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任准教授 (00334970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
財満 信宏 浜松医科大学, 分子イメージング先端研究センター, 特任助教 (40455572)
岩田 圭子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (30415088)
小川 美香子 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 准教授 (20344351)
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Keywords | 自閉症 / 脂質代謝異常 / 発達 |
Research Abstract |
自閉症血清中の脂質VLDL分画の特異的な低下が判明したことから、本計画では(1)自閉症者血清の脂肪酸解析、(2)脂肪酸代謝異常に基づく自閉症動物モデルの確立とそのイメージング解析、(3)動物モデルを用いた新規自閉症治療法の検討、(4)脂肪酸解析結果に基づく臍帯血出生コホートによる自閉症疫学研究、の検討を行っている。 平成22年度、松崎は新たに自閉症モデルマウスの脂質代謝を検討して、ヒト自閉症者と同様に血清中の脂質VLDL分画の特異的な低下が認められることを見出した。このマウスはSocial recog nitionの低下をきたすが、油脂を含む飼料によって血中の中性脂肪を上げると行動所見が修復される傾向が判明し、さらに例数を上げて検討を開始した。 財満は自閉症者血清のガスクロマトグラフ質量分析を行い、VLDL分画の低下に関連の深い脂肪酸としてω6脂肪酸の低下が認められることを見出した。この傾向は、上記の自閉症モデルマウスでも認められた。 岩田は既に作製したVLDL受容体過剰発現動物モデル(VLDLR-Tgラット)の検討を進め、社会性・セロトニン機能の低下はなく、空間学習の低下と多動を呈するのみであると結論して、論文の投稿準備を進めている。 小川はVLDLR-Tgラットを用いた脂肪酸PETの予備実験として、ω6脂肪酸のH-3標識化合物を投与し、1時間後に動物を屠殺して血液・脳・脂肪・筋肉での核種取り込み量を放射能で評価した。その結果、4週齢VLDLR-Tgラットでω6脂肪酸の欠乏が示唆された。現在このデータをもとに、PET撮像を行う準備を進めている。
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Research Products
(8 results)