2009 Fiscal Year Annual Research Report
電気刺激による腫瘍血流制御を応用した新癌治療法の開発-放射線・化学療法との併用
Project/Area Number |
21200021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲田 栄子 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (60375201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有賀 久哲 東北大学, 病院, 講師 (30333818)
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Keywords | 癌 / 電気刺激 / 血流制御 / 低酸素領域 / 放射線治療 |
Research Abstract |
腫瘍に存在する低酸素領域は、化学療法抵抗性、放射線抵抗性、など、現在の癌治療において大きな壁となっている。我々は、電気刺激による血流制御効果を利用して、腫瘍内の血流を増加させ低酸素状態を改善し、放射線や抗癌剤に対する感受性を高めることと、放射線治療や化学療法休止期には逆に腫瘍血流を抑制する事により腫瘍増殖を抑えるダブル効果を期待する新癌治療法の開発を行うことを目的とし研究を進めてきた。平成21年度では、担癌マウスに対し電気刺激を行い、腫瘍内血流変化や低酸索改善効果を見た。まず、腫瘍を移植したマウスに、腫瘍近傍と仙骨部それぞれに30Hzの電気刺激を加え、二次元レーザー血流計、ポーラログラフィーを用いて、腫瘍内血流状態と酸素濃度を調べた。その結果、(1)電気刺激により腫瘍血流量の有意な増加(1.2倍)が認められた。(2)腫瘍酸素分圧は血流量に対し、時間の遅れはあるものの増加傾向が認められ、かつ、刺激後の持続性が認められた。(3)前述の効果は腫瘍近傍での刺激よりも、仙骨部での刺激をした際に認められた。以上のことがわかった。これらの作用は、仙骨部体性神経線維群を求心性に電気刺激したニューロモジュレーション効果によるものと推定されるものである。21年度は刺激強度を変化させた場合の血流、酸素濃度変化を見る事を計画していたが、データが不足していた。22年度は、まず刺激強度を多段階に変化させた場合の腫瘍内血流・酸素濃度変化を調べ、血流制御を行うための最適な刺激強度を探したいと考えている。21年度の研究では、電気刺激により腫瘍内部の血流量増加に伴い、酸素化がなされる事が実証された。このことにより、放射線治療時化学療法時において、電気刺激により感受性が高まることが予想される。22年度はこの予想を実証させる方向で研究を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)