2010 Fiscal Year Annual Research Report
卓上静電型イオン蓄積リングの開発とマクロ分子科学への応用
Project/Area Number |
21200051
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松本 淳 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 助教 (10443029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間嶋 拓也 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50515038)
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Keywords | イオン蓄積リング / 励起分子素過程 / 巨大分子イオン |
Research Abstract |
静電型イオン蓄積リングは,従来の磁場型リングと比べて小型でより重いイオンの蓄積可能であり,遅い反応の孤立系分子科学のための強力なツールとして注目されている。本研究の目的は,周長約1mの超小型,可搬のイオン蓄積リング(μE-ring)を製作し,小型であることの利点を生かした分子科学研究を行うことである。例えば,可搬性を生かして様々な実験施設にイオン蓄積リングを持ち込み実験が可能となる。また小型化により安価に製作ができるようになれば,多くの研究グループにリングの利用可能となり孤立系分子科学のさらなる活発化が期待される。 まず,昨年度に引き続きイオン蓄積リングのビーム周回条件の検討を行い電極配置・印加電圧の最適化を行った。次に,真空チャンバー内に設置する部品の材料選定や電極形状や配線の取り回し焼きだし用ヒータ・熱電対の配置を検討・設計を行い,業者に製作を依頼した。さらに,リング本体の大きさをもとに,真空チャンバーの設計を行った。真空チャンバーは箱型とし600mm×300mm×250mmのステンレス製である。この形状で10^<-9>Pa台の極超高真空を達成するためフランジの配置・形状や焼きだしの方法を中心に検討し製作を依頼した。また,イオンビームを周回させるため約30個の高圧電源が必要となる。これらを効率的に設定・微調整を行うためにコンピュータ制御が可能な多チャンネル高電圧電源モジュールシステムの構築を行った。現在,イオン蓄積リングを構成する真空チャンバー・電極・架台・配線材など概ね揃ったので,装置全体の組み上げを進めている。
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