2009 Fiscal Year Annual Research Report
BMPシグナルが制御する幹細胞による腎臓の発生・再生・癌進展メカニズムの解明
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21200080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳田 素子 Kyoto University, 次世代研究者育成センター, 准教授 (70378769)
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Keywords | 慢性腎臓病 / BMP / 再生 / 幹細胞 / 発生 / ネフロン / 腎臓 |
Research Abstract |
腎幹細胞である後腎間葉系細胞は未分化性を維持しながら増殖し、必要な時に細胞周期を出て分化するがその制御メカニズムは未解明である。申請者は、この後腎間葉系細胞の維持機構が破綻すると腎臓の機能単位であるネフロンの材料である幹細胞が胎生早期に枯渇し、ネフロンの数が少ない状態で生まれてくる(低ネフロン数出生)と考えている。低ネフロン数出生は成人後の高血圧および腎障害の最大のリスク因子であるが、ネフロン数決定の分子基盤は明らかになっていない。 申請者はBMP7 conditionalノックアウトマウスを用いた解析からBMP7が後腎間葉系細胞の増殖および未分化性の維持に必須であることを見いだした。本研究課題では同マウスを用いて腎幹細胞の増殖と未分化性維持におけるBMP-7の役割を詳細に検討するとともに、この役割における下流シグナルおよびエフェクター因子を同定することを目的としている。申請者は 既に複数のエフェクター候補因子を同定しており、そのうちの因子Xを発現させると幹細胞が未分化な状態で維持され、低ネフロン数出生が回復することを見出した。さらに申請者はBMP7が脳における神経幹細胞維持にも関与しており、そのエフェクター因子は先の因子Xのファミリー因子であることを見出した。このことからBMP-7は腎臓に限らず種々の臓器の幹細胞を維持するマスター因子であることが示唆される。さらに申請者は因子Xが腎細胞癌でも発現しており、その発現と悪性度が相関することを見出した。
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Research Products
(8 results)