2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21221006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金城 政孝 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (70177971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三國 新太郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任助教 (40435954)
北村 朗 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (10580152)
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Keywords | 1分子計測 / 可視化 / 生物物理 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 時間相関 / 空間相関 / 空間光位相変調 |
Research Abstract |
蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy, FCS)はダイナミックな分子間相互作用を単一分子レベルで解析する手法であり、溶液系の測定から生細胞まで測定が可能で幅広い応用が可能である反面,測定箇所は特定の1点でしか測定出来ないことが細胞生物学的応用の際の問題点である。その解決のために本年も引き続き多点同時測定FCSの構築と生細胞測定への応用を目指ざしている。そのためにまず励起レーザー光を空間光変調素子を利用することで任意の複数照射の励起光パターンを作り,マルチ光ファイバー装置を検出として用いて,実際に生細胞内の多点におけるタンパク質の拡散運動を検出することを目的とした。本年度は下記の結果を得た。 空間光位相変調素子によるマルチレーザービーム作成と細胞応用測定。 多点FCSは光源として液晶の回折現象を利用したプログラム可能な空間光変調素子を利用して7点照射パターンの作成を行った。検出器はまず光電子増倍管(PMT)を用いて7チャンネル装置の構築を行い、生細胞内GFPを対象としてガラス面から0.5ミクロンステップの空間分解能があることを証明し、次に細胞核膜を境にして、細胞核ならびに細胞質内を区別して同時FCS測定が可能であることを実証した。次に機能性タンパク質としてリガンド刺激により、細胞質から核へ移行するグルココルチコイドレセプター(GR)のGFP融合タンパク質を対象とした測定を行い、15秒おきのFCS多点同時測定に成功した。次に約2ミクロンメータの距離にある2点間の空間相互相関の解析行い、GFPでは空間相互相関シグナルは得られなかったが、一方、GFP-GRでは相関関数に明確なシグナルが得られ、GFP-GR一分子の核膜を介した2点間移動の速さが45.1秒であることを初めて実測した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年までに多点FCS装置の構築と生細胞内多点FCS測定が可能であることを実証し、さらに機能性タンパク質としてGFP-GRの移動速度の測定も可能であることを実証した。また、構築した多点FCS装置の時間分解能が5マイクロ秒であることから、すべての生体高分子の溶液中での拡散速度の測定が可能であることも確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、GFP-GR移動速度の解析等を進め、実際に細胞質から核へ移動する要因がなんなのかを明らかにしていく予定。そのためにはまず、種々のGR変異体を作成して、変異場所とその転写活性、移動の関係を明らかにする。また、実際にどのようなエネルギーを消耗しているのかを明らかにするために、GFP多量体-GRを作成し、GRに人工的に重しを付けた時にどのような輸送速度変化があるのかを解析し、質量と移動速度の関係から輸送特性を明らかにできると期待している。
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Research Products
(23 results)