2011 Fiscal Year Annual Research Report
牧畜文化解析によるアフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明とその現代的動態の研究
Project/Area Number |
21221011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
嶋田 義仁 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20170954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 隆 石巻専修大学, 理工学部, 学長・教授 (00215633)
鷹木 恵子 桜美林大学, 人文学部, 教授 (60211330)
今村 薫 名古屋学院大学, 経済学部, 教授 (40288444)
池谷 和信 国立民族学博物館, 教授 (10211723)
大野 旭 静岡大学, 人文学部, 教授 (40278651)
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Keywords | アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明 / 牧畜文化 / 乾燥地 / サハラ / 都市・国家形成 / 文明 / 宗教 / 乳文化 |
Research Abstract |
本研究は、アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明を4類型にわけ、その内的構造と歴史動態の解明を目的とした。本年の成果は以下の如し。 1.3年間の研究成果を、アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明研究3巻(1巻はイタリアなど4ケ国海外研究書と日本人研究者による欧文論集)と、アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明研究叢書4巻を発刊:児玉香菜子『内モンゴル牧畜民の現代的変容状況における「砂漠化」と「脱社会主義政策」』、楊紅『現代満州族シャーマニズムの研究』、中山千冬『アフリカ文学と西洋文明』、水谷徹哉『キブツ・サマール』。 2.雑誌論文は86本(査読43本)、学会発表65(招待3)、図書12。 3.国際セミナー「岩絵のメッセージ:遊牧・牧畜民の信仰と宗教」「西アフリカイスラーム文明」を開催。嶋田、今村、児玉、星野、サコは第二回オックスフォード砂漠会議(オックスフォード大学)で研究発表し、海外砂漠研究者との共同研究推進に合意。このほか、国際セミナー参加と主催は多数あった。 4.分野別研究も旺盛であった。冷帯草原型文化研究:児玉5本、ブレンサイン3本、大野(楊)4本。昨年司馬遼太郎賞受賞の大野は、本年も『続墓標なき草原』により社会主義時時代中国の過酷な牧畜民弾圧史を明らかにした。児玉論文は改革開放時代の牧畜民動態研究。熱帯砂漠型乾文化研究:縄田4本、中村3本、石山2本、今村5本によるラクダ文化解明。熱帯サヴァンナ型文化:サコ住文化論4本、石山1本。山地オアシス型文化:鷹木5本、中川原3本。乾燥地の通文化的研究:平田乳文化論21本、星野環境分析18本、坂田ラクダ研究2本。平田はアフロ・ユーラシアの乳文化論を展開し、新フード・インダストリー誌にて乳文化論を13回連載。池谷も獣医畜産新報に「人と家畜のエピソード」を12回連載。星野も生態学エッセイを酪農ジャーナルに12回連載。 5.大学院生の研究参加による若手研究者育成もすすんだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明研究が急速度にすすんだ。昨年司馬遼太郎賞を受賞した大野旭(楊海英)は社会主義中国の牧畜民弾圧史を解明、児玉香菜子はポスト社会主義時代の牧畜民の動態を解明。モンゴル牧畜民社会史研究が著しくすすんだ。今村、縄田らによる熱帯砂漠のラクダ文化研究、鷹木のオアシス文化研究、中村によるインド洋交易研究によっても、各分野の解明がすすんだ。欧米等外国研究者のプロジェクトへの関心がたかく、共同研究の提案がおおい。本年はオックスフォード大学での砂漠会議、イランでのカナート会議に参加したが、24年度はインディアナ大学やバマコ大学での国際会議が予定されている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.当初計画にしたがって、研究を10巻ほどの論集にまとめる方向で研究をすすめる。『モンゴル文明論』『サハラ文明論』『オアシス文明論』『サーヘル・スーダン文明論』『インド洋文明論』『世界の家畜文化』『乳文化論』『糞文化論』『アフロ・ユーラシアの宗教文化-イスラーム、仏教、キリスト教、ユダヤ教』等。2.こうした研究計画に従って個別研究を推進するとともに、国際会議を主催あるいは共催して、本プロジェクトに不足していた分析視点や研究を補いつつ、本研究を国際共同研究のなかに位置づける。その成果は、『アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明研究』や『アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明研究叢書』に集積する。このためには、大学院生などの若手研究者の研究協力者としての登用もすすめる。
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Research Products
(35 results)