2011 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー電子・陽電子観測による暗黒物質・近傍加速源の探索
Project/Area Number |
21224006
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鳥居 祥二 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90167536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 忠久 神奈川大学, 工学郎, 教授 (90271361)
古田 健二 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (90260984)
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Keywords | 宇宙線 / 粒子測定技術 / 宇宙物理 / 素粒子物理 / X線γ線天文学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高エネルギー電子・陽電の観測により、暗黒物質と宇宙線近傍加速源の探索を実現することである。このため、気球実験(bCALET)の成果をもとに、2014年度にISS「きぼう」に打ち上げが承認されている Calorimetric Electron Telescope(CALET)を製作し、高エネルギー電子・陽電子をTeV領域まで高精度観測する。 研究実施計画では、(1)bCALETによる電子観測のデータ解析実施と論文作成、(2)CALETの要素技術開発、(3)CALETの機能・構造モデルの試作及び性能評価試験、(4)CALET観測実験計画策定・推進、を目標として挙げたが、それぞれについて以下の実績を挙げている。(1)平成21年8月に実施したbCALET-2の観測データの解析を完了し、1 GeV-数10 GeV領域での一次(+二次)電子と大気ガンマ線のエネルギースペクトルを求めた。この結果、同時にCALETのプロトタイプとしての気球搭載装置の性能実証を行うことに成功した。成果は、「宇宙航空開発研究開発機構開発報告」(査読付)に投稿し、すでに受理されている。(2)CALETの要素技術として、CHD,IMC,TASCの前置回路の性能検証モデル(BBM)による評価試験を行い、NIMや国際会議の論文で発表した。(3)CALET全体性能の検証のため、機能モデルを製作してCERNの陽子・電子ビームとHIMACの重原子核ビームの実験を実施し、成果を国際会議で発表した。4)計画推進のため、日本(早大)イタリア(ピザ、フローレンス)とCERNで国際チーム会合を開催した。日米欧の共同提案を行った結果、CALETがCERNの「Recognized Experiment」として承認され、国際的にも高く評価されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績でも述べたように、研究実施計画として予定したことはおおむね実現しており、CERNで「Recognized Experiment」の承認により、2012年度にはCALET-STMによる陽子・電子に加えて重源子核による実験も実現できることが確実となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究として研究計画の変更や問題点は特にはないが、来年度以降は軌道上データ解析システムを構築し、CALET観測データ解析によるサイエンス発信を目指す新たな展開が必要である。
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Research Products
(31 results)