2009 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴軟X線散乱と中性子散乱による外場下での局所電子構造と混成軌道秩序の研究
Project/Area Number |
21224008
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
村上 洋一 High Energy Accelerator Research Organization, 物質構造科学研究所, 教授 (60190899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 裕則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (70321536)
雨宮 健太 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (80313196)
久保田 正人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (10370074)
中尾 朗子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (90392050)
岩佐 和晃 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00275009)
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Keywords | 電荷秩序 / スピン秩序 / 軌道秩序 / 共鳴X線散乱 / 中性子散乱 / 遷移金属酸化物 / 軌道混成効果 / 多極子秩序 |
Research Abstract |
本研究では、典型的な強相関電子系である分子性結晶・3d遷移金属酸化物・4f多極子系を研究対象として、外場(圧力・電場・磁場)下での電子自由度(電荷・スピン・軌道)の秩序構造とそのダイナミックスを研究することが目的である。そのために放射光と中性子を相補的に利用する。特に放射光利用においては、硬X線だけでなく軟X線を利用した共鳴散乱装置を開発することが大きな計画となっている。まずH21年度は、次年度からの本格的な超伝導磁石付き軟X線共鳴散乱装置の建設に向けて、現有の装置を改造して実験を行い、技術的な問題点を洗い出すことから始めた。その結果、光軸調整のための調整機構の付いた架台やスリット系などが必要であることが判明した。これらを制作して再実験を試み、次のような成果を得るに至った。 擬2次元Co酸化物において、その軟X線共鳴磁気散乱を観測することに成功した。この結果はこれまでの中性子回折実験結果と一致している。さらに、共鳴散乱の分光学的な実験結果より、Coイオンのスピン状態に関する情報を抽出することに成功した。また、Mn酸化物の人工超格子を対象として、軟X線共鳴磁気散乱実験を行い、2種類の積層酸化物のどこに磁気モーメントが発生しているかを明らかにした。これらの結果は、H22年度からの強磁場中での共鳴軟X線散乱実験のための基礎を固めるものである。 一方、中性子非弾性散乱によって充填スクッテルダイト化合物の結晶場励起を観測することに成功し、局在したf電子と伝導電子の混成状態によって、これらの結晶場励起が理解できることを示した。この結果は、本研究の目的である局在電子系と遍歴電子系の混成軌道秩序を探るための基礎実験として、意義深いものである。
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Research Products
(90 results)