2010 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴軟X線散乱と中性子散乱による外場下での局所電子構造と混成軌道秩序の研究
Project/Area Number |
21224008
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
村上 洋一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (60190899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 裕則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (70321536)
雨宮 健太 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (80313196)
久保田 正人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (10370074)
中尾 朗子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (90392050)
岩佐 和晃 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00275009)
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Keywords | 電荷秩序 / スピン秩序 / 軌道秩序 / 共鳴X線散乱 / 中性子散乱 / 遷移金属酸化物 / 軌道混成効果 / 多極子秩序 |
Research Abstract |
本研究の目的は、典型的な強相関電子系を研究対象として、外場下での電子自由度秩序状態を解明し、そこでの混成軌道効果を調べることにある。今年度の実験装置整備計画は、超伝導磁石を装備した軟X線共鳴散乱装置の開発と、極低温中性子非弾性散乱装置の整備であった。強磁場共鳴軟X線散乱装置の開発はほぼ計画通りに進み、中性子非弾性散乱装置に装着した1K冷凍機も順調に稼働した。これらの装置を用いて、下記のような成果が挙がった。 1.コバルト酸化物Sr_3YCo_4O_<10.5>において、その中間スピン状態の存在とその軌道秩序状態を、共鳴硬・軟X線散乱により明らかにするとともに、中性子回折実験によりその磁気秩序構造を求めた。 2.La_<0.5>Sr_<1.5>MnO_4を対象にして、MnサイトをCr,Fe,Gaで3%置換することにより、Fe,Cr置換系においては電荷・軌道・スピン秩序が大きく変化することが分かった。そこでは低温で電荷・軌道秩序が消失しているが、温度を上げると無置換系と同じ秩序が現れるという、特異な現象を発見した。 3.今年度導入した1K冷凍機を併用し、充填スクッテルダイト化合物PrRu_4P_<12>の多極子秩序相での新しい相互作用の効果を示唆する結果を得た。これにより、局在-遍歴電子の混成軌道秩序をさらに探るための基礎手法としての極低温下パルス中性子散乱実験が可能となった。またPr_xFe_4Sb_<12>のPr充填率xに依存する弱い磁気秩序の形成機構などの研究も進めた。 4.非弾性共鳴X線散乱を用いた軌道の集団励起オービトンの基礎的な理論を構築した。特にX線の偏光依存性により電子励起の対称性を識別できる可能性を指摘し、KCuO_3における実験結果と比較検討することで低ネルギーに観測されるピーク構造が軌道励起である可能性を指摘した。
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Research Products
(44 results)