2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭化珪素半導体の欠陥制御と超高耐圧ロバスト素子への応用
Project/Area Number |
21226008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木本 恒暢 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (80225078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 淳 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00293887)
西 佑介 京都大学, 工学研究科, 助教 (10512759)
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Keywords | 炭化珪素 / パワーデバイス / 拡張欠陥 / 点欠陥 / キャリア寿命 |
Research Abstract |
本年度は、SiC厚膜エピ成長層に存在する拡張欠陥の構造と点欠陥の種類の解明に取り組んだ。主な成果は以下の通りである。 (1)SiCエピタキシャル成長層中の拡張欠陥の構造解明 自作のSiC化学気相堆積(CVD)装置を用いて、高純度・厚膜(50-100um)エピタキシャル成長層を形成し、拡張欠陥を詳細に評価した。成長層中に存在する主要な積層欠陥の光学的性質と積層構造の相関を解明し、フォトルミネセンス(PL)により非破壊・高速に積層欠陥を検出する手法を確立した。また、溶融KOHエッチングとTEM観察により、主要な積層欠陥の構造を三次元的に明らかにし、積層欠陥端部に存在する部分転位のバーガースベクトルを決定した。これらの結果を基に、積層欠陥の発生起源を結晶学的に考察した。また、室温におけるPLマッピングにより成長層中に存在する転位の非破壊検出および転位種類(貫通らせん転位、貫通刃状転位、基底面転位)の判別に成功した。本手法による転位の種類判別には、成長層のキャリア寿命が大きな影響を及ぼすことも判明した。 (2)SiCエピタキシャル成長層中の全ての深い準位(点欠陥)の検出 点欠陥や不純物は禁制帯中に深い準位を形成し、キャリアの再結合、生成中心となる。禁制帯幅が3.3eVと広いSiCでは、禁制帯中央付近のミッドギャップ準位の検出が困難であるが、独自の高温DLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)測定により、バンドギャップ全域における深い準位の評価を行った。まず、自作のn型、p型SiCエピ成長層を用いて、低温~超高温DLTS測定を行い、禁制帯幅中に存在する全ての深い準位を検出した。また、主要な深い準位について、エネルギー位置、捕獲断面積だけでなく、電界変調効果を利用して欠陥の電荷状態(アクセプタ型(0/-)/ドナー型(+/0))を明らかにした。さらに、成長条件が深い準位の生成に及ぼす影響や、深い準位の熱的安定性を明らかにした。さらに、イオン注入、あるいは電子線照射を行ったn型、p型SiC中の深い準位についても評価した。結晶成長時、およびイオン注入、電子線照射によって生成される主要な深い準位は、伝導帯底から0.65eVおよび1.55eVに存在する欠陥であることを明らかにした。成長条件依存性や低エネルギー電子線照射実験から、これらは炭素空孔に関連する準位であると推測される。 次年度は、これらの欠陥の性質と起源をさらに詳細に調べると共に、大幅に低減する手法を確立する。
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Research Products
(4 results)