2010 Fiscal Year Annual Research Report
炭化珪素半導体の欠陥制御と超高耐圧ロバスト素子への応用
Project/Area Number |
21226008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木本 恒暢 京都大学, 工学研究科, 教授 (80225078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 淳 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00293887)
西 佑介 京都大学, 工学研究科, 助教 (10512759)
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Keywords | 炭化珪素 / パワーデバイス / 拡張欠陥 / 点欠陥 / キャリア寿命 |
Research Abstract |
本年度は、SiC成長層に存在する拡張欠陥および点欠陥の振舞い解明とその低減、およびキャリア寿命について研究を進めた。主な成果は以下の通りである。 (1)SiCエピタキシャル成長層中の拡張欠陥の発生起源の解明と低減 SiC成長層中の拡張欠陥の起源や発生箇所をPLマッピング、KOHエッチング、TEM観察等により調べた。積層欠陥の大半は成長初期に新たに発生することが判明し、エピタキシャル成長の初期プロセスを改良することで、その密度を約20cm^<-2>から1cm^<-2>未満に低減した。転位については大半が基板からの引継ぎである。エピタキシャル成長による基底面転位から貫通刃状転位への変換過程を分析し、基底面転位から分裂した2本のショックレー型部分転位間の距離が変換率に影響を与えていることが分かった。 (2)SiC成長層中の点欠陥の起源解明と低減 SiC結晶中に存在する主要な深い準位(点欠陥)は熱的に極めて安定であり、窒素やアルゴン雰囲気では1700℃の熱処理を施しても低減できない。しかしながら、SiCに熱酸化を施すことにより、結晶表面から全ての深い準位を桁違いに低減できることを見出した。例えば、1300℃、5時間の熱酸化により、深さ約50ミクロンまでの領域で、深い準位密度を消滅させることに成功した(密度1x10^<11>cm^<-3>未満)。この熱酸化による欠陥低減機構を酸化界面からのC原子の放出と拡散モデルで説明し、定量的なモデルを構築した。また、イオン注入やドライエッチングなどのデバイスプロセスで生成される深い準位を系統的に調べ、これらの欠陥も熱酸化処理により桁違いに低減できることを見出した。 (3)SiC結晶におけるキャリア寿命と深い準位の相関解明 n型およびp型SiC厚膜成長層を用いてキャリア寿命(ライフタイム)を詳細に調べ、キャリア再結合過程を解析した。n型SiCにおけるキャリアのライフタイムキラーはZ_<1/2>センターと呼ばれる深い準位であること、および熱酸化処理によりこの欠陥を低減することで、キャリア寿命を0.7usから約10usにまで向上することに成功した。一方、p型SiCでは表面再結合の影響が大きいことを明らかにし、独自の表面パッシベーションを施すことで、キャリア寿命を0.4usから2.6usにまで向上させた。
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Research Products
(6 results)