2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21226021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高瀬 雄一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70292828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江尻 晶 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (30249966)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 球状トカマク / 高周波 / 電流駆動 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、球状トカマクの最大課題の一つである非誘導電流立ち上げの実証である。低域混成波(LHW)進行波を励起する導波管配列アンテナの製作(昨年度からの繰越し)と並行し、昨年度開始した速波(FW)進行波を励起するコムラインアンテナを用いた実験を継続し、更に高い電流(15kA)までの立上げを達成した。励起された波動のRF磁場やRF電場の周波数スペクトル、空間分布、偏波等を磁気プローブ・静電プローブで調べた結果、非線形過程による200MHzのFWの200MHz以下のLHWへの変換が示唆された。X線エネルギー分布測定用の波高分析器の改良等を行い、波に加速された高速電子の速度分布関数に関する情報を得た。プラズマ電流の極性反転、X線測定視線スキャン、プラズマ電流上昇時の時間変化より、高速電子の速度分布関数の非対称性や時間変化がわかり、RF進行波が電子を一方向に加速する直接電流駆動の重要性が確認された。静電プローブで測定される浮遊電位が大きく負になることが観測されており、これより高エネルギー電子に関する情報が得られる可能性が検討されている。磁気計測に基づくプラズマ平衡の再構成、プラズマの温度・密度分布計測も改良を加えており、これらの結果を総合して電流駆動の物理機構解明を目指している。LHWのプラズマ中心部への伝搬には、0.3T程度の磁場が必要なので、トロイダル磁場の増強を行い、この磁場での予備電離に有用な8.2GHzの電子サイクロトロン加熱装置の設置を行った。今年度終盤には導波管アンテナがTST-2に設置され、これらの設備を用いて直接励起LHWによる電流駆動実験を開始した。FW励起とLHW励起の実験結果を比較することにより、モード変換に関する情報が得られ、LHW直接励起の必要性を判断することができるので、その意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STプラズマにおいてLHWによるプラズマ電流ランプアップを実証することが本研究の目的である。これまで、2本のループアンテナ、コムラインアンテナを使った実験を行い、立上げ直後の1kA程度のプラズマ電流では圧力勾配駆動が支配的だが、ランプアップに伴い、5kA程度からはRF駆動電流が重要となってくることがわかった。これまでに既に15kAのプラズマ電流を達成している。H23年度にはLHW進行波を直接励起できる導波管配列アンテナを用いた実験を開始している。速波進行波励起のコムラインアンテナの結果との対比からモード変換に関する情執が得られ、LHW直接励起の必要性を判断することが可能となる。プラズマ密度・温度・蓄積エネルギー等の計測や波動計算コードも整備されており、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はH23年度に開始したLHW直接励起の導波管配列アンテナを使った実験を推進する。これまでは10kW程度のパワーで実験を行ってきたが、アンテナからプラズマへの結合を改善し、100kW程度のパワーを使った実験を目指す。磁気プローブ、静電プローブ、反射計等、複数の方法による波動の同時多点計測、X線幅射等による電子速度分布関数の計測、磁気計測に基づくプラズマ平衡の再構成、プラズマの温度・密度分布計測等の結果を総合して、電流駆動の物理機構を明らかにすることを目指す。これら実験結果を世界最高水準の波動解析コードTORLH、フォッカープランクコードCQL3Dの計算結果や、非線形現象であるパラメトリック崩壊過程の計算結果等と対比し、波動物理および波動・粒子相互作用の解明を目指す。
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