2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21226021
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高瀬 雄一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (70292828)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江尻 晶 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30249966)
|
Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
|
Keywords | プラズマ・核融合 / 球状トカマク / 高周波 / 電流駆動 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、球状トカマク(ST)の最大課題の一つである、非誘導法によるプラズマ電流立ち上げの実証である。低域混成波(LHW)の進行波をプラズマ中に直接励起できる誘電体充填型導波管配列アンテナ(グリルアンテナ)を用いてプラズマ電流立ち上げ実験を行った。グリルアンテナからプラズマ波動への結合効率は予想以下であり、入射電力の約半分が反射されるため、プラズマ中に励起されたLHWの波数スペクトルが大幅に劣化することがわかった。実験条件下でモデル計算により調べたところ、高電力では高周波(RF)電場に起因するポンデロモーティブ力によりプラズマがアンテナ前面から排除され、結合が悪化すると推論された。電流駆動効率は、速波(FW)励起の誘導結合型コムラインアンテナで得られたのとほぼ同等であり、同程度のプラズマ電流までの立ち上げが達成された。新たに設置した8.2 GHzのマイクロ波を用い、LHWのプラズマ中心部への伝搬に必要なトロイダル磁場0.3 Tで実験を行ったところ、電流駆動効率はトロイダル磁場が高いほど、またプラズマ電流が高いほどよくなることがわかった。励起された波のRF磁場を5個の磁気プローブより成るプローブアレイで計測したところ、波の偏波(LHWまたはFW)により波長が異なること、それらがLHWおよびFWの分散関係を満たすことが確認された。また、プローブで観測された波のトロイダル方向の波長はアンテナが励起したLHWの波長より長いことが明らかとなった。これらはプラズマ中のLHWの波長を直接測った世界的にも高く評価される結果であり、波の挙動の理解に大きく貢献するものである。アンテナからプラズマへの結合および励起されるLHWの波数スペクトルを改善するため、新たな概念にもとづく静電結合型コムラインアンテナを開発・製作し、実験を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STプラズマにおいてLHWによるプラズマ電流立ち上げ(ランプアップ)を実証することが本研究の目的である。これまで、2本のループアンテナ、誘導結合型コムラインアンテナ、誘電体充填型導波管配列アンテナ(グリルアンテナ)を使った実験を行い、立上げ直後の1 kA程度のプラズマ電流では圧力勾配駆動が支配的だが、ランプアップに伴い、5 kA程度からはRF駆動電流が重要となってくることが明らかとなっており、既に15 kAまでのプラズマ電流ランプアップが達成されている。グリルアンテナではプラズマとの結合効率が十分高くないため、プラズマ中に励起されるLHWの波数スペクトルが崩れてしまうことがわかったので、新概念に基づく静電結合型コムラインアンテナを新たに設計・製作し、実験を開始している。プラズマ計測や波動計算コードも整備されており、研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は新たにTST-2に設置した、優れた波数スペクトルを持つLHWを直接励起できる静電結合型コムラインアンテナを使った実験を推進する。アンテナからプラズマへの結合を改善し、100 kW程度のパワーを使った実験を行うことにより、波動とプラズマの相互作用を顕在化させることを目指す。磁気プローブ、静電プローブ、反射計、干渉計等、複数の方法による波動の同時多点計測、X線輻射等による電子速度分布関数に関する情報の収集、磁気計測に基づくプラズマ平衡の再構成、プラズマの温度・密度分布計測等の結果を総合して、電流駆動に関わる物理機構を調べる。得られた実験結果を世界最高水準の波動解析コードTORLHやAORSA、フォッカープランクコードCQL3D等の計算結果や、非線形現象であるパラメトリック崩壊過程の計算結果と対比し、波動物理および波動・粒子相互作用の解明を目指す。
|
-
-
[Journal Article] X-ray Measurements during Plasma Current Start-up Experiments using the Lower Hybrid Wave on the TST-2 Spherical Tokamak2012
Author(s)
T. Wakatsuki, A. Ejiri, H. Kakuda, Y. Takase, T. Ambo, H. Furui, T. Hashimoto, J. Hiratsuka, H. Kasahara, K. Kato, R. Kumazawa, Y. Nagashima, K. Saito, T. Sakamoto, T. Seki, F. Shimpo, R. Shino, T. Shinya, M. Sonehara, O. Watanabe, T. Yamaguchi, C. P. Moeller
-
Journal Title
IEEJ Trans. FM
Volume: 132(7)
Pages: 485-489 (5)
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-