2012 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒合成を基盤とする有機イオウ・リン有用物質の高機能化と環境調和利用
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21229001
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
山口 雅彦 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30158117)
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| Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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| Keywords | 遷移金属 / イオウ / リン / 触媒 / 有機合成 / 平衡制御 / 不均一系反応場 |
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| Research Abstract |
１．高活性遷移金属触媒反応の開発 酸性度の低いヘテロ環化合物あるいは芳香族化合物の水素原子を有機チオ基で直接置換する方法を開発した．これらの研究の結果，ニトロアルカンのような酸性度の高い化合物から酸性度の低いヘテロ環化合物のチオ化が行えることになった．また，この現象を支配する原理を示した．炭素-ヘテロ原子結合あるいはヘテロ原子間結合を切断再配列する反応を開発した．芳香族メチルエーテルの開裂再配列反応を開発した．イオウ単体を用いる芳香族スルフィドの合成法を開発した．有機イオウ化合物を酸化剤として用いる炭素-炭素結合性性反応を開発した．
２．平衡反応システム制御 高活性触媒反応によって生じた平衡系において，望みの化合物を得る方法を開発した．とくに，反応剤とヘテロ原子化反応剤の組み合わせを設計する方法を検討し，チアゾールをチオ化した．平衡移動に利用できる不均一系反応場の構築法を検討した．有機ゲル系における平衡反応制御法を開発する目的で，二成分系ゲルの構築法を検討し，性質を制御する方法を開発した．固体表面系としては金およびシリカナノ粒子の合成法を開発した．また，分子構造の認識法として光学分割を検討した．
３．新規含イオウ・リンへテロ環化合物の系統的合成法の開発 ヘテロ環化合物の合成に関して，チアゾールとオキサゾール，ベンゾチオフェンなどのチオ化反応を開発した．
４．医薬品と機能性材料の高機能化 昨年に引き続き，文部科学省事業に試料を提供した．
５．遷移金属触媒分解による物質循環 炭素-イオウおよび炭素-リン結合に加えて，安定で切断されにくい炭素-フッ素および炭素-酸素結合さらには炭素-炭素結合が切断再配列できることがわかってきた．これらの還元的な処理法を開発した．例えば，ポリフルオロベンゼン炭素-フッ素結合の切断をシラン存在下で行なうと，一部のフッ素原子が水素で置換された．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平衡制御のための不均一系反応場を構築する研究の基礎ができあがった．また，新しい触媒的結合切断反応が多く見出されるようになった．この方法論は広く平衡制御に用いることができる．これは本研究の方法論に関する大きな前進であり，未開拓であるが重要な分野に到達しつつある．加えて，いくつかの新しい物質変換法を開発した．
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| Strategy for Future Research Activity |
新規な変換反応の開発と有用物質の合成研究を継続する．最近，ナノ粒子を用いて，生成物の分子構造を原料と区別して認識しながら，反応系から沈殿させて分離する方法を開発した．これは分子の形状認識ということができる新しい方法論である．この方向での研究を精力的に進める．
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