Research Abstract |
平成22年度に実現した新方式での視聴覚MR実験が可能な実験コーナー(仮称:Reality Media Room)を「X-Media Galaxy」と命名し,23年度は(A)~(C)の課題についてそれぞれ以下のような研究を行った.「(A)新音像提示方式による高臨場感 3D 音場の実現」に関して,平成23年度は音像プラネタリウムベースユニットにサブウーファを搭載することで,さらなる高臨場感 3D 音場の実現に挑戦した.まずは新しいベースユニットを開発し,その有効性を確認した.その結果,従来方式に比べ音像定位性能を保持したまま,音質を大幅に改善できることを確認した.次に音像の距離制御に関して,パラメトリックスピーカに加え動導型スピーカを併用することで,音像距離の制御を試みた.その結果,両スピーカを併用することで,音像をスピーカと受聴点の間の任意の距離に構築できることがわかった.さらに空間の反射音を制御するため,動電型間接スピーカを周囲に設置して室内の制御を試みた.その結果,音像定位に影響を及ぼすことなく,反射波を制御できることを確認した. 「(B)光学的整合技術による視覚的複合現実感(Mixed Reality : MR)の表現力強化」では,X-Media Galaxyでの光学的特性を考慮し,仮想物体の陰影づけ,ぼかし等のレンズ効果,実物体から仮想物体への影付け等を実時間で実行可能なアルゴリズムの選定を引き続き行い,実装した.とりわけ,フリーフォーム光源による照明再賦与(Relighting)に関する新手法を考案し,国内外で学会発表した. 「(C)視聴覚併用MRコンテンツの制作」に関しては,(A)(B)の結果を実装,評価するためのコンテンツの第2弾として,X-Media Galaxyにおいて体験者の周りに配置された複数の仮想物体が「音を発しながら移動する」様子を視覚・聴覚の両面で体験し,かつ体験者がそれを対話的操作で制御できるコンテンツ事例を制作し,技術評価を行った.
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