2011 Fiscal Year Annual Research Report
包括的な翻訳情報資源を実現する統合翻訳支援サイトの構築
Project/Area Number |
21240021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
影浦 峡 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00211152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿辺川 武 大学共同利用期間法人情報・システム研究機構, 新領域融合研究センター, 研究員 (00431776)
内山 将夫 独立行政法人情報通信研究研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所, 主任研究員 (70293496)
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Keywords | みんなの翻訳 / 翻訳支援 / 専門用語収集システム / 並列アーカイヴ / 対比アーカイヴ / 包括性 |
Research Abstract |
本年度は、以下の研究を行った。 (1)英日・日英をはじめ、各種言語対について、翻訳支援エディタからオンライン辞書を直接呼び出す機能を組み込み、システム提供辞書・ユーザ構築辞書を含めたシームレスな検索を可能にした。また、理論的には、辞書の社会的な位置づけを規範性と包括性の観点から検討し、要件を整理した。 (2)トピック用語から、パラレル・アーカイヴを編成するシステムに、コンパラブル・アーカイヴを編成するシステムを統合して、多言語アーカイヴ構築システムを実装し、実証実験を行った。 (3)クラウド型ユーザ貢献における翻訳の場に埋め込まれた辞書構築のローカル性と一般利用可能性について、特に神戸女学院大学英文学科田辺研究室との協力で、学生の翻訳授業の中でのグロッサリーの活用から検討し、インタフェースの使い勝手と問題点を整理した。 (4)英語カタロニア語、日本語ドイツ語の言語方向に言語資源を拡張し、日独については、組み込んだ辞書WaDocの開発者であるチュービンゲン大学のウルリヒ・アッペル博士とともに、日本語イディオムの自動辞書引きのための規則構築を進めた。これについては、規則構築・検証環境の整備は終わったが、実際の規則構築と検証は継続している。 それに加えて、立教大学国際コミュニケーション学部武田珂代子教授と、翻訳支援システムの実証利用を通した翻訳レファレンス資源の実証的な有効性評価の枠組みについて計画をたてた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
翻訳支援サイトの構築と改善、レファレンス情報資源の包括性概念の明確化、翻訳者の辞書構築への貢献については、システム開発、理論構築、実証実験いずれも当初計画に沿ったかたちで研究を進め成果を出した。コンパラブル・アーカイヴ編成システムの構築を済ませている。辞書の質的検討は用例の選択等について一部遅れているが、その一方で、辞書の多言語展開と柔軟な活用方法の開発は予定よりも進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画調書に書いた計画は、全体としてはほぼ予定通り進んでいるため、主要な研究項目についての枠組みを変更する必要はない。ただし、翻訳者の利用に関する聞き取りや翻訳研究者との議論から、包括的なレファレンス資源の具体的な構築について、スラングなど「柔らかく」文脈依存性の大きな語彙クラスについては、独立したレファレンス情報資源として編成するよりも、ウェブ検索との接続を重視した方がよいことがわかってきている。また、レファレンス資源の活用を翻訳者の暗黙知とデータレベルで結びつけることの重要性・有効性と可能性が見えてきた。これは非常に重要で大きなテーマであり、次段階への展開として積極的に考慮していく。
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Research Products
(10 results)