2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21241029
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
半田 宏 東京工業大学, ソリューション研究機構, 教授 (80107432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 孝広 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), がん転移研究室, 即率室長 (60192530)
青木 伊知男 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (10319519)
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Keywords | ウイルス外郭タンパク質 / 自己集合化 / ウイルス様粒子 / ナノカプセル / 高機能化 / MRI造影剤 / アジュバント効果 / ワクチン製剤 |
Research Abstract |
我々はSV40のメジャー外殻タンパク質であるVP1五量体の自己集合化能を介したナノカプセル形成技術を開発した。バキュロウイルス発現系で合成されたウイルス様粒子(VLP:virus-like particle)を精製し、試験管内でVLPを還元剤DDTとカルシウムキレート剤EGTAで処理するとVP1五量体にまで解離する。一旦解離したVP1五量体から、各種物質(裸のDNA、DNAとヒストン複合体であるクロマチン、マイナー外殻タンパク質、クエン酸被覆フェライトなど)を内包した約50nmのナノカプセルを形成する技術を世界に先駆けて開発した。また、ナノカプセル表面を遺伝子工学的や化学的に改変し、細胞指向性を改変する技術を確立した。そこで、これから開発技術を用いて、27nmフェライトをVP1五量体で被覆し、その表面にEGFを固定化したナノカプセルを担がんマウスに静注後、MRI造影を行うと、見事にEGFR高発現がん細胞に集積し、EGFR低発現がん細胞とは著しく違うことがわかり、有望なMRI造影剤の候補物質を作製することができた。さらに、内包技術開発に関連して、元来のVLPの45nmサイズを遥かに凌ぐ100nm~500nmの球状の人工粒子や立方体をVP1五量体で完全に被覆する技術を開発した。これは十分量の薬剤などの生理活性物質を標的細胞に運び込む新規DDS用キャリアとしての有効性が期待され、従って、次世代医療に向けた高機能性ナノキャリアの開発に向けた主要な技術がおおよそ確立されてきた。 ところで、我々はこれまで抗原性を低減することや消去することを念頭に置いてきたが、VLPを使う以上は、それが極めて難しいことがわかった。それならばそれ逆手にとって、抗原生を有効活用できないかと考え、VP1の表面露出部位にウイルスやがん細胞のエピトープを導入し、そのVLPを作製し、CTL活性化能をマウスで検討してみた。その結果、VLPが強力なアジュバント効果を発揮し、CTL活性化を誘導することを見出した。そこで、VLPという人工構造体がワクチン製剤として有望あることがわかったので、このアジュバント効果の科学的根拠の実証と、実用化に向けた応用研究を行っている。
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Research Products
(7 results)