2011 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル・中央アジアにおける社会主義的近代化に関する比較研究
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21241059
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (30188750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帯谷 知可 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (30233612)
ティムール ダダバエフ 筑波大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (10376626)
島村 一平 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (20390718)
吉田 世津子 四国学院大学, 社会学部, 教授 (70352086)
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Keywords | ユーラシア / 社会主義 / 近代化 / 口述史 / ナラティブ |
Research Abstract |
ユーラシアの現在を理解するうえで欠かすことのできない、社会主義時代の近代的変容について把握するために、過去の公的な記録写真や新聞記事(プロパガンダ・ナラティブ)と、それらに関する人びとの思い出の想起(記憶ナラティブ)など多角的な「語り」を収集し、比較考察した。 平成23年度は第3年度として以下のような作業を行った。 (1)モンゴルについては、学術文化行政に関する口述史に加えて、宗教に関する口述史を収集し、モンゴル語をテキスト化し、日本語に翻訳した。平成24年度ならびに平成25年度内に刊行する予定である。 (2)ブリヤートモンゴルについては、宗教に関する資料を分析し、論文を発表し、著書に反映させた。 (3)ウズベキスタンについては、写真資料に関する資料を分析し、論文、著書を英語でも発表した。 (4)カザフスタンについては、口述史を活用し、モンゴルと比較して、論文を発表した。 (5)キルギスタンについては、生活変容に関する資料を分析した。また、映画「明かりを灯す人」の解説を担当して学術的成果の普及につとめた。 (6)これらの研究成果の一部を、学術一般書にまとめて刊行した。 (7)別途、費用を得て、中国内蒙古に関する口述史を英訳して刊行した。また、モンゴルに関する口述史の英訳作業を続行した。平成24年度内に刊行する予定である。 中央アジアおよび東北アジアでは、すでにポスト移行期とよびうる段階に入り、社会主義時代の記憶も具体的かつ個別的なナラティブから抽象化された支配的言説(マスター・ナラティブ)に変容しつつあることがわかった。そのため、現段階で収集しうる口述史はおそらく社会主義時代に関する最後のものとして現代史の貴重な資料となるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
5年計画の3年度にあたり、研究者ごとの個別の成果があり、とくに英語で発信するという点は予想以上に進展しているため。今後は、それらを総合化することが残された2年間の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ロシア・モンゴル・中国の3カ国にまたがって居住するトゥバについて、現地協力者の協力を得られることを活用して、映像によって、社会主義的近代化の3カ国における普遍性と個別性を捉える。一般向けの作品としては最終年度に作成し、公開を果たす。
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Research Products
(13 results)