2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21242002
|
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
篠田 知和基 Hiroshima City University, 国際学部, 研究員 (00022260)
|
Keywords | 比較神話 / 儀礼 / 新年行事 / 光 / 闇 / 水 / 火 / 善悪 |
Research Abstract |
世界神話に共通する構造を解明するため、二元構造に注目、明暗、善悪などの二項対立の神話を世界にもとめて、その比較をおこなった。代表者と各連携研究者はオセアニア、台湾、ヨーロッパ、アメリカ、中国、沖縄、東北地方などに調査におもむき、聞き取りや資料調査をおこない、9月の国際シンポジウム「光の神話」と1月の国内シンポジウム「水中の火」においてそれぞれ報告をおこなった。9月は朝鮮の火祭り、イランの新年行事、タジク族の新年行事、メソポタミアの光の神話などについての発表と、招待研究者によるアレクサンドロス神話や聖夜の神話についての報告があり、イランほか各地の新年が1月ではなく、春分や夏至に行われ、光の神話に関係していることがしられた。1月はデュメジルの「水中の火」についての論文をふまえて、世界の神話において、火と水という相反する要素がかならずしも対立的ではなく、原始の混沌の海に火がはいつてそれを胚胎させ、そこから生命がうまれることがインドのアグニ、イランのアパム・ナパート神話などによってあきらかになった。この成果は研究書として印刷刊行した。3月には総括研究会を開催し、9月の報告にあった東北の竈神についての研究などの跡付け調査の報告や、ヘブライ、インド、イランの事例などの紹介があった。1年間の研究をとおして闇の中の光、水の中の火といった反対概念が神話的に結合することが明らかになったのはおおきな成果である。
|
Research Products
(5 results)