2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21242002
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
篠田 知和基 広島市立大学, 国際学部, 研究員 (00022260)
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Keywords | 神話 / 罪と罰 / マニ教 / 文化人類学 / 比較文学 / 宗教学 / シャーマニズム / 道祖神 |
Research Abstract |
9月1日2日の両日、大阪大学人間科学部でシンポジウムをひらき、台湾の陳鏡羽、中国の陳建国、フランスのフィリップ・ワルテルらのほか、国内外の30名の研究協力者の参加をえて、「罪と罰の神話」について検討した。キルギスからの留学生によるキルギスの叙事詩「マナス」の紹介などもあった。また中国からの参加者は福建省の村で発見されたマニ教絵画について、六道絵などとの比較をおこなったが、これは昨年、奈良の大和文華館でおこなわれた特別展示「マニ教絵画」の、中国からの視点だった。 1月4日5日の両日は千葉大学けやき会館でシンポジウムをひらき、ルーマニアのニコラエ・ラルカ、ロシアのシプトゥニナ、ほか、国内外30名の参加をえて「罪と罰」につづく「罪と贖罪」の神話について検討した。ここではカフカス産地のオセット族の伝承を調査した報告などがあって盛り上がった。この二回のシンポジウムの成果は3月末に「罪と罰の神話学」として楽浪書院から出版した。そのあと3月26日には千葉大学文学部で平成23年度返球総括会をひらき、立川武蔵のカトマンドゥ調査、小島瓔禮の新潟の道祖信仰調査、荻原真子の韓国シャーマニズム調査などの報告があった。 以上のほか、エジプト神話、ケルト神話などを中心にした文献調査をフランス国立図書館でかさねた。国内では房総の村博物館や国立歴史博物館の調査もおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界のすべての地域の神話をとりあげることをめざしているために、キルギス、ロシア、オセット、カトマンドゥなどの事例をしらべることができ、まだ調べられていない部分もおおいが、一年の成果としては二度のシンポジウムや研究所の刊行もふくめ、順調とみなされる。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカ先住民族のナヴァホ、エスキモーの調査が木村武史の協力によって推進される見込みである。2年前から着手した「世界神話伝説大事典」はいよいよ完成をめざして校正の段階にはいっている。そこでは、いままで手薄だったアフリカ、東南アジア、インド、オセアニア、南北アメリカについてもそれぞれの専門家の参加をえてあらたな総括がはかられており、本研究への還元も期待される。フランスの研究者との連絡、討議をふまえ、フランスおよびヨーロッパ神話の総括もすすめられる。
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Research Products
(7 results)