Research Abstract |
2010年度は,2009年度までの研究成果を踏まえて,技能ごとにサンプルレッスンの完成を進めた。あわせて,4技能の責任者・サブ責任者・ウェブ化担当者が集まる,技能横断の研究会を開催し,サンプルレッスンの仕様と内容の確定までの手順について意見交換と調整を行った。それを踏まえて,引き続き,技能ごとにメーリングリストを利用して,内容について意見交換と調整を行った。 その結果,動画や音声などの提示システムについて,格納ファイルやプログラミングの工夫で解決できる点と,予算内では実装できない限界点とが明らかになった。そこで,限界点を踏まえて,さらにサンプルレッスンの改訂に取り組んだ。 2010年度には,教材作成と並行して,学習ニーズ,および,学習困難点についての調査をおこなった。たとえば「書く」では,実際に使用されている「保育園練習帳」を入手し,保護者が保育士に向けて必要事項を伝達する際,何をどのように表現しているかを調査し,書くために必要な技術,知識(=スキル)とは何かを探った。また,「読む」では,日本語初学者を対象に,「処方薬を入れる薬の注意書き」などを見せて,内容を類推してもらい,それについて母語で半構造化インタビューを行うなどして学習困難点を探った。このような実態調査を経ることにより,学習者にとって,よりリアルで現実的な状況において,真の意味で「読める」「書ける」ために必要な技術,知識(=スキル)が明らかになり,それを踏まえた教材作成は,コミュニケーション能力の獲得に寄与するものとなる。
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