2009 Fiscal Year Annual Research Report
「共同体」概念に依拠しない秩序形成の理論歴史学~魂の脱植民地化の新しい展開~
Project/Area Number |
21242015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安冨 歩 The University of Tokyo, 東洋文化研究所, 教授 (20239768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇田 晴子 城西国際大学, 人文学部, 教授 (80088012)
生田 美智子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (40304068)
深尾 葉子 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20193815)
千葉 泉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20217243)
葛城 政明 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60273736)
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Keywords | 歴史学 / ネットワーク / サイバネティックス / 脱植民地化 / 呪縛 / 共同体 / 創発 / 暗黙知 |
Research Abstract |
本年度の研究により、以下の点が明らかとなった。 (1)いわゆる秩序を形成するには、人々の学習過程の作動が重要である。(2)というのも、個々の人が、周囲の状況と自分の行動の結果とを受け止めつつ、自分自身のあり方を、コミュニケーションを通じて発展させることが、調和を生み出すからである。(3)学習過程が停止すると、人々の関係は呪縛に転じる。そうすると、人々の行動は硬直化し、相互関係に多数の齟齬が生じるようになる。(4)この固着化は、集団全体の暴走を生み出すことになりかねない。(5)それゆえ、学習過程の作動を阻害するものに着目することで歴史上の「激動」の条件を理解しうる。(6)その場合、多数の要因の相互強化関係が広く見られる。その関係の解明が、歴史上の「激動」の過程を理解する上で有用である。(7)近代「満洲」の成立過程はそのように理解しうる。(8)そのような研究は、歴史学の縦割りの分野に固執しては実行し得ない。(9)全体的過程が個人のあり方に大きな影響を与え、同時に個人のあり方が全体の作動に影響する。(10)その意味で、個人史と歴史的過程とは密接に関係するので、歴史的過程を生きる個人の精神史の研究は、歴史研究の上で重要な役割を果たす。個々の人生は個別であると同時に、時代の一般性を常に帯びている。 これらの成果は、東洋文化研究所の発行する『東洋文化』の第90号の13本の論文と、安冨・深尾編『「満洲」の成立』で公表された。
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Research Products
(9 results)