2012 Fiscal Year Annual Research Report
Floer理論、正則曲線の理論とsymplectic構造・接触構造の研究
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21244002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 薫 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (20204232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉屋 周一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80127422)
石川 剛郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50176161)
秦泉寺 雅夫 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20322795)
松下 大介 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90333591)
枡田 幹也 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00143371)
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 准教授 (30268974)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 幾何学 / symplectic 構造 / Floer 理論 / 正則曲線 / 変形理論 / Lagrange 部分多様体 / toric 多様体 |
Research Abstract |
1. 1996年に深谷氏と小野が導入した倉西構造と仮想的基本類/基本鎖の理論は周期的 Hamilton 系 Floer 理論や Gromov-Witten 不変量の構成に適用され、その後 Oh 氏、太田氏を加えた4人により Lagrange 部分多様体に対する Floer 理論への応用できるように整備された。Lagrange 部分多様体の Floer 理論が symplectic 幾何はもとよりミラー対称性予想の研究において有効に使われるようになった。そこで倉西構造の理論を研究者に説明するために Technical details of Kuranishi structure and virtual fundamental chain (約250ページ) を4人で書いた。この仕事にはかなりの時間を掛けた。この原稿に更に手を加えてより広い層にも分かるように加筆、推敲することはこれからの仕事となる。 2. コンパクトトーリック多様体のホモロジー的ミラー対称性予想に関する4人の論文 Lagrangian Floer theory and mirror symmetry on compact toric manifolds にあったいくつかの技術的な誤謬を修正した。この論文は平成25年度中に出版できる形になると考えている。他にも Anti-symplectic involution and Floer cohomology の中のある moduli space の扱いかたを精密にし、出版可能な原稿にすべく努力をした。 3. 正則球面を含まない閉 symplectic 多様体の1点 blow-up の Hamilton 微分同相写像群には Calabi quasi-morphism が存在するが、それに関して super-heavy な Lagrange トーラスが存在することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にある Lagrange 部分多様体に対する Floer 理論の応用は、今までおおむね順調に進んでいる。今年度の始めに、倉西構造による仮想基本類/基本鎖の構成について質問を受けたのでそのために解説論文 Technical details on Kuranishi structure and virtual fundamental chain を深谷氏、Oh 氏、太田氏と共に準備した。倉西構造の理論を広く浸透させるために役立つと期待している。この仕事にかなりの時間を使ったが、今後の研究で必要に応じて引用できることから我々にとっても有用なものとなるであろう。 toric 多様体のホモロジー的ミラー対称性予想への応用を見込んだ M. Abouzaid 氏と我々4人の仕事に関する論文の草稿について検討した。この研究結果は既に N. Sheridan 氏の研究などで使われ初めている。 それに先立つ Lagrangian Floer thoery and mirror symmetry on compact toric manifolds にあった修正すべき点などを再検討の上、加筆、修正し、出版可能な原稿を作成した。 同じく4人による Anti-symplectic involution and Floer cohomology では、例えば、実数体上定義された代数多様体の実部として現れる Lagrange 部分多様体を境界に持つ正則円板の moduli 空間の向きについての基本的考察や量子 cohomology 上の量子 Massey 積の導入などを行ったが、この論文に加筆、修正を加えている。これについては2013年度も続けることになる。 今年度の達成状況は以上の通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は本研究計画の最終年度なので、研究成果を論文として纏めて出版公表できるものを仕上げることを目標とする。具体的には、[現在までの達成度] 欄に挙げたいくつかの論文及び、Spectral invariants with bulk, quasi-homomorphisms and Lagrangian Floer theory 等である。そのためには、細部の検討が必要であるので、共同研究者と密接に連絡を取り、共同研究を進めるべく招聘、訪問などをする。研究集会などの機会を利用しても共同研究を進める。 我々の研究結果と密接に関わる成果を挙げている研究者を招聘するなどして、情報交換することは今後の研究方向を探る上でも重要となる。具体的事例を幾つか挙げる。我々は toric 多様体の大量子 cohomology 環と Lagrangian torus fiber の potential 関数の Jacobi 環の同型を示す際に、Seidel 準同型と呼ばれるものを使った。 Seidel 準同型と mirror 写像との関わりが K. Chan, S.-C. Lau, N. C. Leung,H.-H. Tseng の共同研究や、入谷氏とE. Gonzalez による共同研究で明らかになってきた。また、toric 多様体だけではなく toric orbifolds の Lagrangian torus fiber の Floer 理論も C.-H. Cho, M. Poddar により進められている。こうした研究を検討することで新たな研究の方向を探ることができると期待する。
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Research Products
(12 results)