2009 Fiscal Year Annual Research Report
ガンマ線レンズを用いた新世代のラインガンマ線天文学の開拓
Project/Area Number |
21244043
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
国分 紀秀 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 准教授 (50334248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 和洋 東京大学, 理学系研究科, 講師 (50342621)
渡辺 伸 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助教 (60446599)
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Keywords | ガンマ線 / 電子陽電子対消滅線 / ガンマ線レンズ / コンプトンカメラ / ガンマ線天文学 |
Research Abstract |
ガンマ線帯域において他波長に比肩する感度を達成するためには、従来の非集光型検出器の限界を破り、ガンマ線の集光を可能にする新しい技術が必須である。ガンマ線レンズは、ブラッグ回折を利用したラウエレンズであり、レンズの素子としては、高純度のゲルマニウムあるいは銅などの数cm角サイズ結晶を用いる。例えば511keVを集光する場合、格子間隔0.2nmのゲルマニウム結晶を約0.7度傾ければ良い。集光に必要な面積からレンズの半径を決めると、この半径と傾き角によって焦点距離が決定される。典型的なサイズとして半径1mのレンズを考えると、焦点距離は82mとなり、観測衛星として実現するためにはフォーメーションフライトが必要である。本研究では、このガンマ線レンズの基礎開発を行うとともに、焦点面検出器として用いる半導体コンプトンカメラの開発、及び「すざく」衛星を用いたラインガンマ線の観測的研究を行う。 今年度は、まず気球用ガンマ線レンズを用いた基礎測定と、新規に開発するガンマ線レンズ用の結晶素子の特性を評価した。フランスの共同実験グループが気球実験用に開発したガンマ線レンズを用いて、約120keVの単色ガンマ線を14mの距離から照射し、約3m離れた焦点位置にシンチレーターを置いて測定を行ったところ、確かに集光されたガンマ線を検出し、そのスポットサイズを定量的に評価することが出来た。また、シリコン結晶を用いてX線ビームラインにおいて集光効率の測定を行った。 一方で、半導体コンプトンカメラのプロトタイプの試作と、カメラに用いる半導体素子の性能評価を行い、さらには加速器施設において高エネルギー陽子を照射して放射線損傷による特性の影響を実測した。
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Research Products
(6 results)