2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21244056
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松村 武 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (00312546)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 低温物性 / 多極子 / 共鳴X線回折 |
Research Abstract |
極低温,磁場と並んで本実験システムの3本柱の一つとなる移相子を用いた入射偏光制御システムが完成した。これを用いて,Ce0.7La0.3B6で現れる奇妙な電子秩序相(IV相)の偏光解析を行い,無磁場での秩序変数は,これまで提案されていたとおり,Γ5u型磁気八極子秩序相であることが確実となった。さらに,この手法は,従来アジマス角依存性だけから行われていた方法をより高度化したものであり,磁場中などの極限環境下においても極めて有効な手法であることが確立できた。この手法を用いて,磁場中でのIV相で秩序変数がどのように変化するかを測定した。磁場がプラス1Tとマイナス1Tでの強度の非対称性と偏光依存性を詳しく解析し,CeB6系で一般に見られるΓ5型反強四極子が誘起されることを見出した。それは分子場計算から期待されるよりもずっと大きなものであり,背後には強い四極子相互作用が存在していることが明らかになった。この結果により,なぜ磁気八極子のような秩序相が現れるのかという根本的な問題がより鮮明になった。相転移温度2K以下という極低温領域で出現する多くのf電子系物質の多彩な秩序相が,磁場中でどのような振る舞いを見せるかを共鳴X線回折法で調べるための観測システムを構築する,という当初の目的は十分に達成され,世界に類をみないフルスペックの実験システムが完成し,本格的な実用段階に入ったと言える。
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Research Products
(14 results)