2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウェハスケール表面構造制御を用いた単結晶グラフェン基板創製
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21246006
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
日比野 浩樹 NTT Basic Research Laboratories, 機能物質科学研究部, 主幹研究員 (60393740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 雅夫 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (20393762)
影島 博之 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (70374072)
蟹澤 聖 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (70393767)
山口 徹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 主任研究員 (30393763)
田中 悟 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80281640)
水野 清義 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60229705)
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Keywords | グラフェン / シリコンカーバイド / 低エネルギー電子顕微鏡 / 成長機構 / バンドギャップ / トランジスタ |
Research Abstract |
本研究課題では、SiC基板の熱分解によりグラフェンをエピタキシャル成長する手法を用いて、単結晶グラフェン基板を創製することを目標にしている。平成21年度は、SiC基板をAr中で1800℃まで急速加熱可能な装置を購入し、Ar雰囲気下でグラフェン成長が可能な環境を整備した。予備的な実験から、Ar雰囲気での加熱により、数μmで均一な1層グラフェンが得られることを確認した。 SiC基板上のグラフェン成長機構を解明するために、微傾斜SiC基板を超高真空下において様々な条件で加熱し、成長したグラフェン層数の空間的な分布を、低エネルギー電子顕微鏡により評価した。観察結果から、グラフェンがlayer-by-layerで成長すること、グラフェン2次元島がステップに沿った方向に速く成長するため、非常に異方的な形状を取ることが示された。また、グラフェン層数の加熱時間依存性を初めて定量的に求め、グラフェンの成長速度が層数の増加に伴い急速に低下することを明らかにした。Si原子がグラフェン層中を通過して脱離する過程が、グラフェン成長を律速しているために起きる現象と考えられ、成長機構解明への重要な手掛りとなる。更に、グラフェン成長速度が層数に強く依存することを用い、成長条件の最適化を進め、μmスケールで均一な2層グラフェンの成長に成功した。他の研究機関では得られていない大面積2層グラフェンである。 SiC上の2層グラフェンでは、基板との相互作用により、バンドギャップが出現することが、光電子分光法によるバンド構造測定から知られていた。ところが、これまでバンドギャップを電気伝導特性で検証した例は無かった。我々は、大面積2層グラフェンを用い、トップゲートを有するトランジスタを作製し、電界によるキャリア濃度の変調を確認するとともに、最小電気伝導度の温度依存性から、バンドギャップの値を評価することに成功した。
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Research Products
(42 results)