2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規なイミノビスアセトアミドを配位子とするTc,Re錯体の創製及びその利用
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21246146
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 正基 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (80421527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 祐二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (20354839)
大橋 朗 茨城大学, 理学部, 准教授 (50344833)
池田 泰久 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (40323836)
三村 均 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10091753)
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Keywords | MIDAA / Tc / Re / 新抽出剤 / 核種分離 / 錯体構造 |
Research Abstract |
放射性の長半減期核種であるTcは水溶液中で酸素酸の陰イオンとなるため、従来原子力分野で利用される抽出剤で効果的に回収できる抽出剤の報告例はない。一方、医学の分野では体内に無理なく取り込まれるTc(Re)錯体の創製が求められている。この2つの課題を解決する新しい配位子(2,2'-メチルイミノビスジアルキルアセトアミド、MIDAA)は窒素、酸素を導入した中心骨格を持ち、強力なTc抽出剤として報告される。この新抽出剤の基礎的な性質を把握した上で、原子力と医学への利用性について探る事を目的とした。 平成23年は、まずMIDAAの一種であり、かつ水溶性のMIDEA(メチルイミノビスジエチルアセトアミド)の毒性評価(エイムズ試験)を行った。ネズミチフス菌を使用して、突然変異誘発能の有無を調査した結果、MIDEAは突然変異能を有さないと判断できた。21年度に開発したMIDAAの新たな合成法(トシルクロライドを用いて塩素化する方法)は現在、発明公開(新規Tc,Re用抽出剤、MIDAAの合成法)中であり、さらに外国特許(フランス)出願準備中である。本法により、MIDAA化合物の簡便な合成が可能である。MIDAAとReO_4-の錯形成時の構造について、XAFS、IR測定や理論計算をまとめ、Inorganic Chemistry誌に投稿中である。関連して、ReO_4-とMIDEA錯体の簡便な白色結晶の調製に成功し、構造解析に役立てることができた。また、MIDOA(メチルイミノビスジオクチルアセトアミド)を使って、各元素の抽出分配比を測定し、周期律マッピングの作成を行った。なお、MIDOAによる塩酸系での貴金属抽出について高性能(高分配比、高抽出容量)であったので、データをまとめて特許作成中である。今後は生体内での反応性について検討してゆく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画の中で、新しい有機化合物合成法を使って数種のMIDAA化合物合成を行っている。なお、本件について、国内特許および国外特許(フランス)を申請中である。また、周期表を構成する各元素のMIDOAについての抽出性能マッピングについて硝酸溶液系で完成させている。アルキル基導入効果については立体障害の観点から調査を進めている。抽出錯体の構造解析についても、化学シフトの観点から試料作成、分析データの取得を進めている。MIDAA錯体の毒性評価については、微生物を用いる変異原性試験を実施し、突然変異誘発能を有さないことを確認した。これらの結果について、先の特許以外に、本年度は学会発表6件、論文2報が公開されており、精力的に発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度の結果をさらに発展させることを中心に行う。塩酸系でレアメタルの分配比が増大したので、これについての詳細データを取得する。塩酸溶液は白金族や金などの溶解溶液として頻繁に利用され、その溶液から金属の溶媒抽出を可能とするもので、産業界でも利用の見込みがある。また、高レベル廃液からのTcの回収方法についての検討や核医学への利用に繋がる動物実験のための基礎データの取得も進めたい。核変換によるレアメタル創成研究については、中性子捕獲反応によるレアアースの同位体改質を伴う創成についての検討を中心に進める。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] 2-(Imino)bis(N,N-dialkylacetamide) (IDAA), a novel complexing agent for Palladiumu(II), technetium(VII) and rhenium(VII)2012
Author(s)
Yuji SASAKI, Morihisa SAEKI, Yumi SUGO, Yasuji MORITA, Akira OHASHI, Takeshi ORIYAMA, Yasuhisa IKEDA, Mohammad Chand ALI
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Journal Title
ISEC2011国際会議Proceedings
Volume: (印刷中)
Peer Reviewed
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[Presentation] 2-(Imino)bis(N,N-dialkylacetamide) (IDAA), a novel complexing agent for Palladiumu (II), technetium(VII) and rhenium(VII)2011
Author(s)
Yuji SASAKI, Morihisa SAEKI, Yumi SUGO, Yasuji MORITA, Akira OHASHI, Takeshi ORIYAMA, Yasuhisa IKEDA, Mohammad Chand ALI
Organizer
ISEC2011国際会議
Place of Presentation
チリ、サンチアゴ
Year and Date
20111003-20111007
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