2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の浸潤・転移機構の解明とその悪性度診断ならびに遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
21249088
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高田 隆 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10154783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 保誠 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50314753)
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
樋田 京子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任准教授 (40399952)
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Keywords | 口腔癌 / 浸潤 / 転移 / 血管新生 / 微小環境 |
Research Abstract |
我々は親株とその細胞から分離した高浸潤能を有する細胞との遺伝子発現プロファイルを比較検討することによって、最も差のみられたPeriostin、IFITM1が口腔癌の浸潤に深く関わることを証明したことから、本解析で差のみられた他の因子も口腔癌の浸潤に深く関わる可能性が十分に考えられた。差のみられた遺伝子には、PeriostinやIFITM1以外に、Wnt5Bがあり、口腔癌細胞を用いて、Wnt5Bが口腔癌の浸潤に深く関わることや高頻度に口腔癌症例で過剰発現していることを明らかにした。次に、Periostin、IFITM1、Wnt5Bの過剰発現した口腔癌細胞とコントロール細胞の遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイにより検討し、共通して発現の高い因子を調べ、細胞外マトリックスメタロプロテアーゼであるMMP10およびMMP13が、Periostin、IFITM1、Wnt5Bの過剰発現によって誘導される因子であることを見出した。実際に、MMP10およびMMPI3は、口腔癌症例で高頻度に過剰発現しており、その発現は、悪性度とよく相関していた。実験的には、MMP10のみが、口腔癌細胞の浸潤を促進した。MMP13は、血管新生を促進することを血管内皮細胞を用いた解析により明らかにした。Periostinは、in vitroで血管新生を促進することをすでに明らかにしているが、リンパ管新生も促進することをリンパ管内皮細胞を用いて明らかにした。現在、MMP10による口腔癌の浸潤機構、MMP13による血管新生、Periostinによる血管およびリンパ管新生の分子メカニズムの詳細について検討中である。また、最近、microRNAが様々な生命現象に関わることが明らかになりつつあり、癌化や癌の進展にもmicroRNAの異常が関わることが報告されたことから、口腔癌の浸潤に関わるmicmRNAの異常を調べるため、親株とその細胞から分離した高浸潤能を有する細胞におけるmicroRNAの発現をアレイを用いて、網羅的に検討中である。
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