2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユーラシア北東部における後期旧石器時代人の適応行動に関する総合的研究
Project/Area Number |
21251009
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 孝雄 Keio University, 文学部, 教授 (20269640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (10272527)
加藤 博文 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60333580)
増田 隆一 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (80192748)
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
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Keywords | OIS3 / 年代測定 / 旧石器 / 哺乳動物化石 / 化石人骨 |
Research Abstract |
ユーラシア大陸北東部へ進出したホモ・サピエンスの環境適応行動を解明すべく、シベリア南東部アンガラ川流域の更新世遺跡群の調査・研究を行った。夏期にはブラーツク貯水池南岸のオサ地区に位置するバリショイ・ナリンI遺跡をロシア・中国の研究者らとともに発掘。その結果、カルギンスキー亜間氷期の古土壌層中より炉跡に由来するおぼしき炭化物の集中を検出し、周囲から石刃剥離技術、小型石刃剥離技術、横長状剥片剥離技術の所産たる石器類と骨器、ウマを主体とする哺乳動物化石も多数収集することができた。試料として持ち帰り、東京大学で放射性炭素年代の測定を試みた同炭化物からは、27,880±160BPという年代値も得られた。本遺跡はもとよりアンガラ川流域の他の更新世遺跡においてもOIS3段階の人工遺物と動物化石が遺構に伴う形で検出された先例がほとんどない状況にあって、今回の発掘成果は極めて大きな意義をもつ。 また、夏期および春期のイルクーツク滞在時には、それぞれイルクーツク国立大学、RASシベリア支部考古学・民族誌学研究所が所蔵する関連資料の観察に努めた。両機関によってこれまで発掘されたイギテイスキー・ログ遺跡、セドーバ遺跡、ゲラシモフ遺跡といった更新世遺跡群。バリショイ・ナリン遺跡と併せそれら遺跡群の石器・骨角器・動物化石の様相も精査し得た暁には、バイカル湖周辺におけるOIS3段階の人類の環境適応活動をより詳細に論じることも可能となる。 この他、本研究プロジェクトの目的・内容を周知し、随時成果も公開すべく、ウェブ・サイトも制作した。また、イルクーツク国立大学およびRASシベリア支部の研究者らとも協議を重ね、次年度に国際シンポジウムを開催するための準備も進めた。
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Research Products
(10 results)