2010 Fiscal Year Annual Research Report
ユーラシア北東部における後期旧石器時代人の適応行動に関する総合的研究
Project/Area Number |
21251009
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 孝雄 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20269640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (10272527)
加藤 博文 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60333580)
増田 隆一 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (80192748)
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
鈴木 建治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 博士研究員 (00580929)
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Keywords | OIS3 / 年代測定 / 旧石器 / 哺乳動物化石 / 化石人骨 |
Research Abstract |
ユーラシア大陸北東部へ進出したホモ・サピエンスの環境適応行動を解明すべく、シベリア南東部アンガラ川流域の更新世遺跡群の調査・研究を進めた。昨年にひきつづき、7月には、ブラーツク貯水池南岸(オサ地区)に位置するバリショイ・ナリンI遺跡を発掘。カルギンスキー亜間氷期の古土壌層を精査した結果、炉跡に由来するとおぼしき炭化物の集中を新たに数基検出するとともに、石器類やウマを主体とする哺乳動物化石も多数収集することができた。加えて、本年度はモスクワよりA.シマコーバ博士(RAS地質学研究所)を招聘し、堆積層中に含まれる花粉化石の採集・分析も試みた。その結果、カルギンスキー亜間氷期の間にも遺跡周辺に森林やステップ、ツンドラなど多様な植生が出現していた可能性が示唆された。3kmほど北西に位置するイギテイ遺跡と同様、バリショイ・ナリン遺跡でも同一層準から検出された動物化石と花粉化石双方の分析結果を照合できるようになったことは、オサ地区の古気候変動を復元する上で極めて大きな意義をもつ。同古環境データを踏まえ今後人工遺物の精査を行うことで、シベリア南東部における後期更新世人類の環境適応行動に更なる知見も得られよう。 10月には、本研究プロジェクトの成果還元を目的に、慶應義塾大学三田キャンパスで『後期旧石器時代のシベリアと日本:最終氷期における人類の環境適応行動」題する国際シンポジウムを開催した。ロシア・中国より6名の研究協力者を招聘、総勢100名弱にも及ぶ参会者を得て開催された同シンホジウムでは、活発な質疑応答・意見交換が交わされるなか、北東アジアにおける後期旧石器研究の課題を整理することもできた。 この他、シベリアにおける後期更新世人類遺跡として世界的に著名なマリタ遺跡の埋葬人骨と同副葬品たる牙偶について、放射性炭素年代の再測定も試みた。同成果については次年度、学術誌に報告する予定である。
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Research Products
(17 results)