2011 Fiscal Year Annual Research Report
ユーラシア北東部における後期旧石器時代人の適応行動に関する総合的研究
Project/Area Number |
21251009
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 孝雄 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20269640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (10272527)
加藤 博文 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 教授 (60333580)
増田 隆一 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (80192748)
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
鈴木 建治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 博士研究員 (00580929)
|
Keywords | OIS3 / 年代測定 / 旧石器 / 動物化石 / 環境考古学 |
Research Abstract |
ユーラシア大陸北東部へ進出したホモ・サピエンスの環境適応行動を解明すべく、本年度はまず既報のバイカルシベリア更新世人類遺跡群に関して、位置・年代・出土資料・関連文献を検索し得るデータベースを試作した。近い将来、露・英・日3言語での公開を予定する本データベースは、シベリア旧石器文化研究の国際化に寄与しよう。また、昨年・一昨年と同様、夏期にはバリショイ・ナリン遺跡の発掘調査も実施した。前年度調査区を拡幅、一部地表下5m以深まで掘り下げてなお中期旧石器時代の文化層を確認するに至らなかったが、過去2シーズンの調査と同様カルギンスキー亜間氷期の古土壌層からは動物化石と石器類を多数採集することができた。昨年より着手した花粉分析と本年度新たに手がけた微小巻貝類の分析について結果が得られ、同亜間氷期におけるバリショイ・ナリン遺跡周辺の古環境をより詳細に論じられるようになったことも、本年度の研究成果として特筆に値する。11月末から12月初旬にかけては、ロシア人研究者3名を日本に招聘。これまでに得られた古環境データ群から指摘できる事柄を整理するとともに、その予察を国立科学博物館で開催された第4回アジア旧石器協会(APA)日本大会において発表した。12月中旬と3月中旬にはイルクーツク大学考古学研究所へ出張、本年度バリショイ・ナリン遺跡から出土した遺物群と同研究所が所蔵する関連資料の観察・分析も進めた。このほか、東京大学総合研究博物館の特別展示『アルケオメトリア-考古遺物と美術工芸品を科学の眼で透かし見る-』(会期:2012年3月3日-6月17日)に、代表者・研究分担者3名が参画、本研究プロジェクトに関係する人工遺物や動物化石の一部を出品・解説した。昨年度の公開シンポジウムに加え、展示という形でも研究成果の一部を社会還元できた意義は大きい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年3月中旬に予定していたバリショイ・ナリン遺跡2010年度出土遺物の整理・観察作業を、震災の発生を受け延期、12月に実施せざるを得なくなった。その結果、当初補助人員として予定していた院生・学生を帯同できなくなったため、進捗に支障が生じ、当初予定していた作業の一部が次年度に持ち越されるに至っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる本年は、当初、代表者・分担者・研究協力者が一堂に会し、それぞれの研究成果を確認、課題を整理するための公開シンポジウムを再度開催することも計画していた。しかしながら、前記の通り、バリショイ・ナリン遺跡出土遺物の整理・観察作業が未だ完了するにいたっておらず、その作業も並行して進める必要がある。そこで、同シンポジウムについては小規模な研究会に置き換えることで経費を節減。代表者・分担者がなるべく長期間イルクーツクに滞在できるようにし、同作業を完了させるとともに、成果報告書の刊行に向けロシア人研究者との実質的な議論を重ねることに努めたい。
|
Research Products
(19 results)