Research Abstract |
本研究計画3年目では,これまで調査困難であったミャンマーなどを含め,アジア大陸の広範な地域で地質調査を展開し,ユーラシア大陸極東部(アジア大陸)全域における衝突型造山帯形成に関わる大陸形成テクトニクスを明らかにするために,以下の項目を実施し着実な成果を得た. 1.年度当初は,2年目までの海外調査による試料解析を継続し,新たにエクロジャイト相変成岩を見出すとともに,日本海拡大前の日本列島とアジア大陸の衝突型造山運動の関連を明らかにするため,西南日本各地の関連変成岩類・火成岩類の調査・分析を実施し,原岩推定と同位体年代測定を行った. 2.シベリア地塊周辺に分布する実態が明らかではないモンゴル・サヤン山脈およびハンガイ山脈の衝突型変成岩類・マントル物質の精密調査を実施し,最先端分析装置群を駆使して,変成岩岩石学的・火成岩岩石学的解析を行った.また,微小領域精密年代測定を実施した. 3.シャンタイ地塊-西ビルマ地塊の衝突境界とみなされるミャンマー・モゴック帯の変成岩類・火成岩類について,ミャンマー政府の正式許可を得て現地調査を実施し,多量の岩石試料を得た.国内では,岩石化学的,鉱物化学的,同位体岩石学的解析を行い,衝突型変成作用のなかでは地殻浅部に由来する変成岩類の実態を明らかにした.また,アジア大陸形成最終期のインド亜大陸衝突の影響を解析した. 4.アジア大陸形成に関連したインドネシア地域の衝突型変成作用を検討するため,カリマンタン島中央部および東部地域の中生代変成岩類について精密地質調査を実施し,地質構造解析とともに,変成作用の解析と同位体年代測定を開始した. 5.次年度以降のアジア大陸のおける衝突型造山帯研究を円滑・迅速に実施するため,モンゴル,タイ,ミャンマー,ロシア,インドネシア,中国等の関連研究者と密接に研究交流を行い,一部は招聘して室内実験を行った.なお,今年度は共同研究者を含め8編の論文等を公表し,35件の学会発表を行った.また,成果の一部は別に8編の論文として国際誌に投稿・査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
モンゴル中~北部地域,ミャンマー,インドネシアの地質調査を実施し,アジア大陸全域における衝突型造山帯形成に関わる大陸形成テクトニクス解明に向けて着実なデータを得た.今年度は,これらで得られた多量の試料に対しREE分析および精密同位体年代測定を行い,岩石形成プロセスの解析と大陸地殻深部現象の解明を進展させた.また,アジア大陸から見たロディニア,ゴンドワナ等の超大陸変動過程を再検討するため,南極・セールロンダーネ山地の既存試料についても詳細な解析を実施した.23年度の研究成果は8編の論文として投稿し,査読中である.
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Strategy for Future Research Activity |
アジア各国の研究者・研究機関との連携が強化されており,23年度までの調査地域を精密化・広域化し,新たにロシア・中国を含め国際共同研究を一層進展させる.また,アジア大陸の形成過程と関連させた日本列島の地質形成過程を考察するため,ジュラ紀以前の国内地質体の調査を実施する,これらの調査で得られた岩石試料について,変成履歴の精密解析に加え,マルチアイソトープ年代測定を実施し多量の年代測定データを元に,アジア大陸における衝突帯深部現象・衝突テクトニクスを明らかにし,投稿中の8論文と合わせて成果の公表を急ぐ. 研究最終年度に向け,各国共同研究者と連携して研究総括のためのワークショップを開催し研究交流を推進するとともに,本研究課題に関する国際シンポジウム開催に向けて準備を開始する.
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