2011 Fiscal Year Annual Research Report
世界遺産登録を目指すイラン・タブリーズ市の歴史的公共建造物の耐震安全性詳細調査
Project/Area Number |
21254001
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮島 昌克 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (70143881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池本 敏和 金沢大学, 環境デザイン学系, 講師 (60311677)
幸左 賢二 九州工業大学, 工学部, 教授 (00315160)
清野 純史 京都大学, 工学研究科, 教授 (00161597)
鶴来 雅人 (財)地域地盤環境研究所, 地盤防災グループ, グループリーダー (60450912)
吉田 雅穂 福井工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (90210723)
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Keywords | 歴史的建造物 / 煉瓦造 / 耐震診断 / 耐震補強 |
Research Abstract |
本研究では、イラン・タブリーズ市において世界遺産に昨年登録されたバザール(市場)を対象として、北タブリーズ断層を想定地震断層とした耐震診断を行うとともに、耐震補強法について現地の研究協力者と調査研究を行うことを目的としている。すなわち、歴史的価値の極めて高い建造物を今後の地震によって消滅しないためばかりでなく、人的被害を最小限にとどめるために建設地点の地盤特性を考慮した耐震診断を行い、それに基づいた耐震補強法を具体的に提案するとともに、避難シミュレーションを実施し、避難時危険性を提示するとともにその対策を提案することが、本研究の目的である。 まず、これまでに収集した中規模地震の記録と観測点における常時微動記録により伝播経路の減衰特性を明らかにし、バザール(市場)のボーリングデータを用いてサイト特性を検討することにより、経験的グリーン関数法により想定地震動波形を作成した。このとき、アスペリティの位置をパラメタとして数多くのシミュレーションを行った。また、バザール(市場)の敷地地内において地盤の常時微動観測を多点で行い、地盤動的特性の空間分布の把握を試みた。さらに、構造要素の耐荷力試験を行うとともに,壁部材を作成し,振動台実験を行い,地震抵抗強度の把握に努めるとともに、これらの結果を用いて挙動解析を行なった。一方、これまでに行った現地でのパーソントリップ調査の結果を用いて避難シミュレーションを行い、精度の検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定地震波形作成においては多くのシミュレーションを実施することができ、地盤動特性把握についても多点常時微動観測を実施し多くのデータが収集出来た。構造強度把握については現地のレンガの輸入ができずに国内および中国産のレンガによる実験にとどまっているが、抵抗強度の把握を行い、挙動解析へと結びつけることができ、避難シミュレーションも開始しているので、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現地のレンガを輸入して実験を行う準備を進めきたが、イランに対する経済制裁の影響で、イラン国内に資材がとどまっている状況のまま時間が過ぎてきた。現地で行なった要素試験の結果から各種パラメタを推測して挙動解析パラメタに用いるなどして研究を進める予定である。 最終年度に当たるので、これまでの成果を報告書としてまとめるとともに、建造物の耐震補強法を具体的にいくつか提案し、それぞれの効果についてまとめる予定である。
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