2010 Fiscal Year Annual Research Report
世界におけるエキノコックス、テニア条虫の種分化、分子共進化研究
Project/Area Number |
21256003
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70155670)
中谷 和宏 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70109388)
迫 康人 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40312459)
柳田 哲矢 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40431837)
岡本 宗裕 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70177096)
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Keywords | エキノコックス条虫 / テニア条虫 / 遺伝子分類 / ミトコンドリア遺伝子 / 核遺伝子 / 地理拡散 |
Research Abstract |
中国、モンゴル、インドネシア、タイでテニア条虫、エキノコックス条虫のサンプリングならびに疫学調査を実施した。中国、四川省では無鉤条虫とアジア条虫の交雑個体が新たに発見された。交雑個体が発育すると期待されるブタの検査を実施したが、雑種個体の幼虫はまだ発見されていない。モンゴル北西地域でのエキノコックス条虫調査を実施したが、まだ発見に至らない。猟師に依頼し冬場にキツネ、オオカミの買い入れを実施し、これから剖検する段階である。エキノコックス症患者病理標本を用いる遺伝子解析から多包条虫、単包条虫にモンゴル特有の遺伝子系の存在が判明し始めている。インドネシア、バリ島における10年間の調査で遂に北東部の山村で有鉤条虫症患者が初めて発見された。嚢虫症流行に関する疫学調査が期待される。タイ北西地域のTaq県、ミャンマー国境沿いのカレン族住民から多数の有鉤条虫症患者が発見された。嚢虫症流行に関する疫学調査が必要である。以上、アジア各国で致死的な嚢虫症を引き起こす有鉤条虫の分布地域(村落)を特定できた。有鉤条虫の遺伝子解析から国ごとに特徴ある遺伝子が見つかっており、嚢虫症患者がどの国で感染したかを特定できる可能性が確認された。ロシア人研究者を招へいし、ロシアにおける上記条虫に関する遺伝子解析が進展し、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン地域における遺伝子解析が可能になった。エチオピアから入手したテニア条虫の遺伝子解析から新種テニア条虫が発見されている。またマダガスカルから入手した有鉤条虫の遺伝子解析から、アジア型とアフリカ型が混在すること、両型間の中間型(交雑個体)も発見された。これは寄生虫の生殖戦略上大きな発見になる。
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Research Products
(23 results)