2011 Fiscal Year Annual Research Report
世界におけるエキノコックス、テニア条虫の種分化、分子共進化研究
Project/Area Number |
21256003
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70054020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 稔 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70155670)
中谷 和宏 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70109388)
迫 康仁 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40312459)
柳田 哲矢 旭川医科大学, 医学部, 助教 (40431837)
岡本 宗裕 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70177096)
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Keywords | エキノコックス条虫 / テニア条虫 / 遺伝子分類 / ミトコンドリア遺伝子 / 核遺伝子 / 地理拡散 / 進化 |
Research Abstract |
人体寄生エキノコックス条虫ならびにテニア条虫の地理的拡散、起源を探る研究が(1)モンゴルでのサンプル、(2)ロシア人研究者の招へい、(3)無鉤条虫とアジア条虫が同所的に分布している中国、四川省で前年度に入手したサンプル、(4)中近東から入手した単包虫(Echinococcus granulosus)サンプル、(5)エチオピアのハイエナから採取したテニア属条虫サンプルの解析を通して大きく進展した。(1)モンゴルの野生動物寄生エキノコックス条虫は2種類、オオカミから確認された単包条虫(Echinococcus canadensis)、多包条虫(モンゴル型)がアカギツネからだけ発見され、モンゴル型の好適宿主と期待されたコサックギツネからは発見されていないこと、(2)ロシア人研究者との共同研究からサンクトペテルブルグ市内で飼育されていた家猫が単包虫症(E.granulosus)に罹患していたこと(Konyaev et al. 2011. J Helminthol in press)、ロシア領アルタイ地域の病院で確認されたエキノコックス症は単包虫症(E.granulosus, E.canadensis)と多包虫症(アジア型)であること(Konyaev et al. 2012. Parasitol Int in press)、(3)無鉤条虫とアジア条虫の交雑個体が、これまでに発見されていたタイ以外に、中国四川省チベット族居住地からも確認された(Yamane et al. 2012. Parasitol Int ; Nkouawa et al. inprep.)。(4)世界に分布している単包虫(E.granulosus)のミトコンドリア遺伝子多型解析から中近東、イランから採取されたサンプルの遺伝子多型が最も多く、起源的にこれまで知られている単包虫(E.granulosus)の中で最も古いと推定された(Yanagida et al. 2012. submitted)。(5)エチオピアのハイエナ寄生テニア条虫が人体寄生有鉤条虫にもっとも近縁であると推定されており、ハイエナから採取された条虫の解析が始まっている。これまで未記録のテニア条虫数種が含まれている可能性が出てきている(Hailemarian et al. in prep.)。
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Research Products
(23 results)