Research Abstract |
本研究は,不注意に関する事象関連電位/磁界計測(ERP/ERF)を行うことを目的としている.本研究は,目的を直接的に追求するための行動実験と,行動実験時の脳波を計測・解析する手法の両面から構成される. 行動実験では,被験者に連続する選択反応課題を与え,その結果を直ちにフィードバックすることにした.このとき,繰り返しの基本単位となる時間を0.3,0.5,1秒と3段階に変化させた.1秒条件ではフィードバック結果を意識レベルで理解することができたが,0.3秒条件ではただ課題をこなしていくことだけで精一杯でフィードバックは知覚できなかった.すなわち,0.3秒条件では,本研究の課題名でもある「見てるけど見えてない」の状態を作ることができだ.ここで,フィードバックは,正しく結果を評価する場合もあれば,ごく稀に結果を意図的に過小評価する場合もあった.このフィードバックに応じて,その後の課題遂行に促進・抑制などの影響が生じた.興味深いことに,この影響は繰り返し時間の違いに依存しなかった.すなわち,意識レベルに上らなくても,上った場合と同じような効果があった. このような実験に対し脳波計測を行い,その結果を脳波電極間または脳領野間の位相共振として解析する手法(Phase-compensated averaging, Phase-interpolated averaging)を開発した.これらの結果,脳領野間の小規模・大規模,短距離・長距離の位相共振が,脳内情報処理において重要な役割を果たしていることが示唆された.なお,脳領野間の信号処理に対しては逆問題解法も開発した(雇用した研究員が担当).
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